中学進学と同時に「英語嫌いの子」は増えやすい

一方、この時期に再び注意すべきなのが、英語嫌いにさせないことです。
ある調査(ベネッセ総合研究所「第5回学習基本調査DATA BOOK」より)が発表している「好きな教科・活動ランキング」を見ると、小学生では「外国語活動」の人気が3位とまずまずなのに対し、中学生の「英語」はなんと最下位です(2015年時点。ちなみに、どちらも1位は「体育」「保健体育」)。

このデータによると、小学生の段階では「とても好き・まあ好き」の合計が77.6%で、かなり多くの子が「外国語活動」を楽しんでいることがわかります。しかし、中学生の「英語」になると、「好き・まあ好き」の合計は50.4%。およそ半数の子が「英語は好きではない」と感じているわけです。

いたずらに正解・不正解ばかりにフォーカスする授業・定期テスト・成績などが、思春期真っ只中の子どもたちの「英語嫌い」をどんどん加速させている可能性があります。
もし小学校で「英語」が必修科目化されて、同じことが繰り返されるようでは、あまりにも残念です。
お母さん・お父さん、そして先生には、子どもが英語を好きでい続けられるよう、次の4点に気をつけながらサポートしてほしいと思います。

(1)子どもが関心を持てる教材・素材を与える
(2)机での勉強を強制しない(英語はソファやベッドでも学べる)
(3)紙での勉強を強制しない(デジタルデバイスは優秀な学習ツール)
(4)趣味・関心をベースにした英語体験を推奨する

この時期の子どもはやや放任くらいがちょうどいいのです。お子さんへの愛情を「静かな信頼」のかたちで示しましょう。
トップクラスの優秀な子どもたちを何人も見てきた経験からしても、信頼に基づく見守りこそが、思春期の子を持つ親にとっての「最大の武器」だと断言できます。

もう一つだけあえてつけ加えておきましょう。もしも学校や学習塾の旧態依然とした「英語」授業を受けたことで、お子さんが自信やモティベーションを失いかけていたら、親御さんは「あなたが家庭でやってきた/いる英語学習は間違っていない!」とぜひ励ましてあげてください。

塾で生徒たちの発音をどれだけ丁寧に矯正しても、翌週にはベタベタのカタカナ読みになって戻ってくる子が必ず何人かいます。本物の発音が恥ずかしくて、つい学校の先生やクラスメートの発音に合わせてしまうからです。周囲からの同調圧力に負けずに、それまで積み上げてきた英語の基盤を保つためには、親御さんの励ましが欠かせません。

※注:本記事の内容は『ほんとうに頭がよくなる 世界最高の子ども英語』から抜粋・再構成したものです。記事中の参照文献・おすすめ教材などは、こちらのサポートページでご確認いただけます。
「世界最高の子ども英語」専用サポートページ
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【著者紹介】斉藤 淳(さいとう・じゅん)
J PREP斉藤塾代表/元イェール大学助教授/元衆議院議員。
1969年、山形県生まれ。イェール大学大学院博士課程修了(Ph.D.)。研究者としての専門分野は比較政治経済学。ウェズリアン大学客員助教授、フランクリン・マーシャル大学助教授、イェール大学助教授、高麗大学客員教授を歴任。
2012年に帰国し、中高生向け英語塾を起業。「第二言語習得理論(SLA)」の知見を最大限に活かした効率的カリキュラムが口コミで広がり、わずか数年で生徒数はのべ3,000人を突破。海外名門大合格者も多数出ているほか、幼稚園や学童保育も運営し、入塾希望者が後を絶たない。
主な著書に、『ほんとうに頭がよくなる 世界最高の子ども英語』(ダイヤモンド社)のほか、10万部超のベストセラーとなった『世界の非ネイティブエリートがやっている英語勉強法』(KADOKAWA)、『10歳から身につく 問い、考え、表現する力』(NHK出版新書)、また、研究者としては、第54回日経・経済図書文化賞ほかを受賞した『自民党長期政権の政治経済学』(勁草書房)がある。