ちなみに野球の競技人口は約1000万人といわれるが、国際野球連盟(IBAF)発表のデータによれば3500万人。この競技者たちの最高到達点をMLB30チームのレギュラークラスとすると、なれるのは120万分の1の確率だ。

 サッカーや野球といったチームスポーツは個人の実力よりも、チームの一員としての能力が問われる。そこには自分にフィットしたチームに恵まれるかという運も必要だ。その点、テニスのシングルスは個人対個人の戦いで、運で左右されることはほとんどない。世界のベスト8になるのは、それだけ大変なのだ。

 もちろんトップアスリートの価値は競技人口から測れるものではない。競技によってプレーの内容も見る者への感動の与え方も異なるのだから、そこからアスリートの価値を判定すること自体ナンセンスだ。ただ、競技人口が多ければその分競争は激しく、プレーのレベルがより研ぎ澄まされる側面もある。その点でテニスの男子シングルスは、数ある競技の中でも屈指の難関。その中でもグレードの高い4大大会の全豪でベスト8に入ることがいかに凄いことかということだ。

男子テニスの「プロ」は約2000人
サーブが時速200km超の世界

 話をテニスに絞ろう。競技人口1億人とすると男子は約5000万人。アマチュアにはダブルス専門の選手が多いので、男子シングルスの選手でシリアスに競技をしているのは1000万人といったところか。そのうちプロとしてプレーしているのは5000分の1の約2000人。男子プロテニス協会(ATP)の世界ランキングでは現在、1941位まで発表している。ATPが公認するさまざまなカテゴリーのプロツアーに出場し、ポイントを取った選手が2000人近くいるということだ。

 その約2000人の中から錦織は這い上がり、1月30日現在で20位まできた。これは日本人最高位だが、全豪の活躍により、ひとケタ台突入も決して夢ではなくなったといえる。