ソブリンワールドカップ
の決め手は経常収支

 筆者はグローバルな国債市場の状況を、国債に対する市場評価の観点から各国が生き残りをかけて競い合う「ソブリン・ワールドカップ」とし、そこでの評価軸は基本的に経常収支にあるとしてきた。

 欧州でのPIIGS諸国を中心としたソブリン危機は、「欧州債務問題」とされることが一般的である。ただし実際には、市場での評価基準は財政赤字の与える影響よりも経常収支赤字問題にあった。それだけに、今後日本の国債市場の信認も経常収支の状況が握ることになる。

欧州国債は“国債”でなく、地方交付税がない“地方債”<br />ユーロ圏は日本の地方債制度を学ぶべき<br />――高田創・みずほ総合研究所チーフエコノミスト

単一通貨ユーロの維持に
不可欠な経常収支均衡

 教科書的に経常収支は以下のようなISバランス(貯蓄投資バランス)の恒等式で示され、経常収支(CA)=(国内貯蓄-国内消費)+(税収-政府支出)=国内貯蓄余剰(不足)+財政黒字(赤字)

 となり、経常収支の均衡には財政バランスを均衡化させるガバナンスを強めることが求められる。なかでも、ユーロ地域のように単一通貨・ユーロを維持するには、経常収支の不均衡を回避することが不可欠になる。