オープンかクローズドか?
数多いミーティングルームの秘密
林:オープンスペースとは別に、和室も含めてミーティングルームが多いですよね。
篠田:はい。ここに移転する前のオフィスではミーティングルームが3つと和室がありましたが、圧倒的に数が足りなかったんです。みんなのデスクがあるオフィススペースにもミーティングスペースはありましたが、それでも足りなくて、床に座ってミーティングするチームもあるほどでした。だから、このオフィスではミーティングルームをいっぱい用意しましたし、ミーティングルーム以外にも、オフィスのいろんな場所にミーティングスペースが取れるようにしています。
株式会社スピーク共同代表/「東京R不動産」ディレクター。株式会社スペースデザインを経て独立。「東京R不動産」の運営・展開のリーダーシップをとるとともに、建築・デザイン・不動産・マーケティング等を包括的に扱うディレクターとして多くのプロジェクトを推進している。
吉里:ほぼ日のミーティングルームは、木の扉にのぞき窓がついていて、室内も完全に木で覆われた、木目調のヒノキの香りも気持ちいい作りになっていますよね。部屋ごとに、作りもちょっと違っているし、置いてあるものもちょっとずつ違う。
とはいえ、基本的にこのミーティングルーム(対談をした部屋)は、のぞき窓がある以外、結構、オープンではないと思うのですが、こういう状態だと、外からは何をやっているのか分からないですよね? オープンなスペースでのミーティングもある中、そういうことは問題にはならないんですか?
篠田:来客時やインタビュー時には、オープンなスペースが適切ではないこともありますので、そういうときに特にミーティングルームは活躍しています。もちろんミーティングルームで打ち合わせをするチームもありますが、今のところ弊害はないです。
確かにクローズドの空間になることを気にしてはいます。前のオフィスでのミーティングルームは、天井から床までガラスの金魚鉢状態の空間でした。外からは音は聞こえなくても、誰と誰が話しているかということがオープンになっていました。それはとても居心地が良かったんです。
ただ、今回は、まず「木で和風の内装」であることが先に決まっていたので、木の扉にするのであれば、せめて扉に窓はつけようということになって、窓が付いたんです。1年経ってみて、今のところは大丈夫ですね。
ほぼ日・奥野:それに、私が所属する読み物チームでは、基本的にミーティングは「閉じて」やってはいないんです。何の境もないところで出入り自由でやっています。
林:そうなんですね。ところで、細かい話ですが、僕は個人的に、会社員時代からホワイトボードが好きで、今でもよく使います。会議室のテーブルは全部、天板に書くことができる「ホワイトボードテーブル」になっています。ほぼ日はアイデア会社なのに、ホワイトボードはほとんどないんですね。
出版社に勤務後、2005年に東京糸井重里事務所に入社。読み物チームに在籍し、コンテンツでは『東北の仕事論』『21世紀の「仕事!」論。』、書籍『はたらきたい。』の編集など、「はたらく」や「仕事論」系を担当している。
奥野:アイデア出しの打ち合わせの時でも、ホワイトボードはほとんど使いませんね……。
篠田:その代わり、誰かが議事録を聞き書きしていることが多いですね。それに、一般的な会社でのブレストだと、話を構造化して結論を出そうすると思いますが、ほぼ日のブレストは、それぞれが自分の動機を確かめるためにミーティングに出席することが多いので、ホワイトボードに書くことよりも、話の流れやお互いのボディーランゲージを含め、雰囲気のほうを大事にしています。ホワイトボードを使うのは、より実務的な仕事の時だと思います。例えば、システム関係、物流の仕事、お金回り、商品を実務的に詰めるミーティングなどでは使うこともあります。