どれだけ面白いことを言うか?
多い会議と少ない会議。
吉里:メールであらゆることが共有されている話がありましたが、ミーティングもかなり多いのですか?
篠田:はい。ミーティングは本当に多いです。一番重要なのは「水曜ミーティング」。社内では「スイミー」と呼ばれています。毎週水曜日のお昼の時間帯に集まって、主に糸井がそのときに考えていることを話します。月に1度程度、その月の会社の業績を私のほうからも発表します。さらに、様々なメンバーから新しい情報が共有されます。例えば東日本大震災の後には、全員の安否確認が簡単に報告しあえる仕組みを社内で作ったのでその情報を共有したり。そうした重要な統一情報の共有をしています。この水曜ミーティングで、会社として大切にしたい精神風土みたいなものや、事業の方向性などの目線合わせがなされるわけです。
これとは別に、月曜と金曜に事務的な連絡をする場があります。それが先ほどのオープンスペースで行うものですね。この時は、経費清算を〇日までに出すようにとか、今度新たにこういうコンテンツがあって何人かに手伝ってもらうので、興味がある人は手を挙げてくださいね、などといった、メールでも連絡していることと同じ内容でもミーティングで確認をします。社内全体を回る情報量はすごく多いですね。
吉里:東京R不動産では、営業チームには週に1度の定例会議があるんですが、その時だけは全員オフィスに来なくてはならないことにしています。逆にいうと、定例会議というのは、その1回だけですね。
篠田:重要な情報の共有を行うということですか?
林:重要な情報共有と、それぞれの動きの確認ですね。そして月初めの定例会議では「シェア決め」というのを行います。成約した物件に関して一つひとつ誰が担当したのか、情報源は何だったか、数人共同で動いた場合は貢献度はどうなったのかなどといったことの確認です。物件探し、案内、交渉調整、契約手続きなど、各々の作業に対して報酬の配分が決まっているので、そこでその割り当てを決めることになっていますね。
奥野:僕らのミーティングは社内情報の共有という目的と、先ほど篠田が言っていた「自分の動機を確かめる」というのがありますが、もう一つ、自分の仕事に関するミーティングでは、「どれだけ面白いことを言うか」という競争にもなっていると思います。常に、皆が何かを言おうと思ってミーティングに臨むので、ミーティングそのものが楽しみだったりしますね。
林:なるほど。僕らのミーティングは、仕事の話は割と地味だったりマジメだったりして、その間にウケるネタや突っ込みを入れるチャンスを常に狙っているという感じ。
篠田:糸井は以前から「コピーライターの学校などでコピーを100個書けなどというが、それはまったく無駄。そうではなく、自分ときっちり対話して、これは絶対に面白いという1個を出しなさい」という考え方を示してきています。数に意味を求めないという思考を奨励しているんですよね。
だからこそ、奥野のようにミーティングでは「いかに面白いことを言うか」という姿勢で参加するから、会話のキャッチボールの中で生まれてくることがたくさんあるのかもしれません。ただこれは、ほぼ日がコンテンツをビジネスにしているということもあると思いますが。
(第4回に続く)
※この連載は2/13~2/17まで5日連続で更新していきます。
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――江副浩正 氏(株式会社リクルート創業者/特例財団法人江副育英会理事長)
――本田直之 氏(レバレッジコンサルティング株式会社代表取締役社長)
――小山薫堂 氏(放送作家/脚本家)
――柳澤大輔 氏(面白法人カヤック代表)
――遠山正道 氏 株式会社スマイルズ(Soup Stock Tokyo)代表取締役社長
――西村佳哲 氏 リビングワールド代表/働き方研究家
――小暮真久 氏 TABLE FOR TWO 代表理事/『「20円」で世界をつなぐ仕事』著者