会話が生まれる「席替え」と
ノマドのための「ベースキャンプ」

:オフィスのスペースのほうは、隣り合ったデスクの間に低めのパーテーションがありますが、大きなパーテーションはないんですね。

奥野:そうですね。しかも、3ヵ月か4ヵ月に1回、席替えがあります。決め方は、今は基本的にくじ引きですね。部署も何も関係なく、席を移動することになっています。それがきっかけで会話が弾んだりもしますし、片づけも積極的にやるようになりますよ。東京R不動産は、逆に席は固定制なんですよね。

吉里:僕らの仕事は外にいる時間も長いので、オフィスではなく街全体が仕事場という感覚もあるので、ノートパソコンを持っていれば、物件を見つけて写真を撮って、その場所からでも物件情報をアップできるし、メールはどこでもできますよね。ノマディックな働き方が向いている仕事です。

 ただ、だからこそ、情報も場所も共有できる「ベースキャンプ」が必要だと思っています。「今日はどうだった」「こんな物件があった」「こんな提案があった」とか、その日にあったことをリアルなコミュニケーションでやり取りすることが重要です。だからデスクは、あえて日本の会社的な「島型配置のデスク」を踏襲したわけです。1枚の大きい天板をデスクにしています。

島型配置を象徴する、大テーブル

 他のメンバーとの距離はパッと話しかけられるような距離感で、広くはありません。なおかつ、フリーアドレスではなく、自分なりの場所、フォーメーションがそれぞれで確保できるように、あるいはサッカーにポジションがあるように、それぞれの「席」が決まっています。

篠田:共有していながらも、無理な統一はないですよね。本でも紹介されていましたが、それぞれのイスは、各自で決めるという自由さもあって、色もデザインも雰囲気も本当にバラバラなんですね。

:一つの大きなテーブルと自由なバラバラなイス、というのは、ある意味、僕らの関係性を象徴している気がします。

イスはすべてメンバーが独自に決める。