ロッテホールディングスの重光昭夫副会長が、韓国で実刑判決を受け拘束された。昭夫氏は日本では例を見ない獄中経営を行うことになるが、こと日本のかじ取りは難しくなってきそうだ。(「週刊ダイヤモンド」編集部 山本 輝)
ロッテホールディングス(HD)は、現職の代表取締役が実刑判決を受けて収監されるという、日本の企業としてはまず異例の事態に直面している。有罪判決を受けた重光昭夫副会長は代表権を返上したが、いかにもお茶を濁した対応だ。
本誌2月24日号で既報の通り、ソウル中央地裁は、朴槿恵前韓国大統領側への贈賄罪で起訴されていた昭夫氏に懲役2年6カ月の実刑判決を下した。
判決を受け、即日拘束された昭夫氏は自らロッテHDの代表を辞任する意向を示し、21日の取締役会で代表辞任が認められた。ロッテHDは佃孝之社長が単独で代表を務めることになった。
だが、昭夫氏は代表権の返上後も、取締役副会長としてロッテHDにとどまり続ける。ロッテHDの発表によれば、あくまで今回の判決は「日本の法制上、取締役の資格に直ちに影響を及ぼすものではない」としており、代表の辞任で経営体制が大きく変わることはない。
事実、獄中経営が一般的な韓国では、昭夫氏は韓国ロッテグループの代表に残り続けており、今後、ロッテHDの株主総会で昭夫氏を取締役そのものから解任するということについても、現時点ではないとロッテHDは強調する。