子どもだけではなく大人まで
賠償金への妬みでいじめ

――避難先で、子どもが深刻ないじめに遭った実態もありました。

「原発避難」がいじめの原因にもなっています。子どものいじめは、非常にショッキングなこととして報じられてきましたが、実は大人のいじめもあります。

 いじめに遭った子どもは、調査した782人中、55人(7%)でした。一方で、大人は782人中359人(46%)だったんです。そして、大人のいじめの理由の8割が「賠償金」に関することでした。子どものいじめの理由はいろいろで、“菌がうつる”とか“汚い”とかそういった感覚的なものが大半でした。

──賠償金への“妬み”がいじめの原因になっているですか。

 はい。被災者と話している印象では、賠償金が払われ始めた13~14年頃から被災者への見方が変わってきました。

 それまでは「かわいそうな人たち」という目で、差別があったとしても「放射能を浴びているから避けたい人たち」、という見方でした。それが、「うらやましい人たち」に変わっていったんです。この転換は、水俣病のような公害事件に似ています。

「賠償金をもらって得している」という妬みは、福島県外の人から向けられるだけでなく、同じ県内の人の中でも分断が起こっています。

 しかし、同じ福島から避難してきたといっても、実態は賠償金をもらっていなかったり、額が少なかったりする人もたくさんいます。

 事故後半年で解除された緊急時避難準備区域に暮らしていた川内村や広野町の人などは、1年半で賠償金が打ち切られ、その後は自主避難者状態です。南相馬市も三つに分かれていて、避難区域に最初から入っていなかった地域、入った地域、解除された地域があります。

 とても悲しいことですが、隣町だけど区が違うところに避難して、いじめられた人もいます。