いかに“影”の部分を減らすか
今後の先端技術企業の展開予想

 米国のIT企業2社の問題が起きるまで、投資家をはじめ多くの人々が、先端企業の事業拡大やビジネスの成長性に目を奪われがちだった。今回のフェイスブックからのデータ不正利用とウーバーの事故は、データ管理の難しさ、安全性確保・確立への責任という根本的な問題をわれわれに突き付けたといえる。その社会的な意味は大きい。

 フェイスブックは、当初の契約者である心理学研究者を通して、トランプ陣営と関係のあるケンブリッジ・アナリティカ社にデータが渡った可能性を認識していたとの報道もある。

 すでに米連邦取引委員会(FTC)が調査に着手したことが報じられているなど、この問題は社会全体に影響を与えるだろう。ツイッターなどを含めSNS関連業界に対する不安の上昇は避けられない。

 一方、ウーバーの事故は、完全な自動運転車で初めての死亡事故だ。自動運転の安全性、信頼性をはじめ、これまで世界各国が重視してきた自動運転技術の開発を見直す、あるいはより慎重に進めようとする動きが出るかもしれない。仮に今回の事故を契機に規制緩和や実証実験の実施に慎重な意見が増えれば、やはり自動車の運転は人間の認知に基づくべきだという論調が増える可能性もある。

 また、SNS関連などIT関連企業の情報管理、守秘義務の徹底、ガバナンス体制の見直しと強化などが進むことは避けられないだろう。そうした企業の経営リスクを法律面からいかに規制していくかという議論も進むだろう。ユーザーや社会からの不信感が高まり、当該企業の経営が悪化することも考えられる。

 それに従い、期待先行で、前のめり気味に動いてきた投資家の心理も、より冷静なものに修正されていくかもしれない。株式インデックスを算出する企業であるMSCI社が、社会的責任の観点などからフェイスブックの経営体制を見直しているという。それを見ても、短期的には、米国株式市場にはマイナスの影響が出る可能性は高い。そのうえで、ハイテク企業のエネルギーをどう長期的な成長につなげていくかが問われる。

 先端技術を持った企業は、将来、われわれにとって“夢”を実現してくれる存在であることは間違いない。問題は、これから、それらの企業が“影”の部分を減らすことができるかが重要なポイントになる。

(法政大学大学院教授 真壁昭夫)