いい会社だけど、何かが違う。
入社1年目の大きな気づき
岩瀬 社会人として1年目に、どんなことを学びましたか?
田中 実は僕、入社1年目で楽天に転職をしたんです。質問の答えにつながることなので、転職の理由について少し話しますね。
So-netはすごくいい会社でした。でも、死ぬほど頑張って働いているという感じではなかったんです。僕は猛烈に仕事をしている環境に身を置きたかったので、違和感を覚え始めたんです。それは、「いい会社」だから気づけたと思います。この「気づき」が一番の学びだったと、今振り返ると思います。
話を戻しますと、「いい会社なのに、自分が求める働き方とは違う」。それが転職するきっかけとなりました。それまで、僕は会社というのは、業態が同じだったら皆同じだと思っていたんです。早稲田と慶應がそう変わらないように見えるのと同じで。
岩瀬 でも実際は違いますよね。三菱商事と三井物産と伊藤忠商事じゃあ風土も働いている人も全然違う。
田中 そうなんです。同じような仕事をするのであっても、どういう人たちとどんなマインドで仕事をするのかで、全然違うんですよね。学生時代に見てきたベンチャーのインターネット企業と、自分が入ったプロバイダーサービスの会社は、入る前までは違うとは思っていませんでした。入ってみたら気づいたんです。社風や雰囲気が違うなと。
岩瀬 わかります。どの業種も同じですね。
田中 なので、学生たちによく言っていることは、「皆『会計士になりたい』とか職能にフォーカスして会社を選びがちですが、それ以上に『どんな人たちと仕事をするか』のほうがすごく大事だよ。会社って1社1社全然違うんだと。どこが良い悪いではなく、どれが自分に合うか合わないかで会社を選ぶといいよ」と。
岩瀬 僕もまったく同じです。書籍『入社1年目の教科書』の中でも、「面白い仕事をつまらない人とするより、つまらない仕事を面白い人としたい」と書きました。配属なんて異動もあるしどうなるかわからないんだから、それよりも会社のカルチャーが大事だと思います。