また、肝となるのは、無給休暇の付与。従来、治療のために有給休暇を利用する人が多かったが、有給休暇の日数を超過した場合は欠勤扱いになって翌年の有給休暇の発生に影響を与えることが懸念された。無給休暇であれば欠勤とはならず、翌年の有給休暇も発生するというわけだ。

 30日を超える連日使用を不可としたのは、それだけ長期に出社できないのは仕事ができない状態であるという判断から。その場合は、休職をしてきちんと治療に専念してほしいという意味がある。

「そのほか、短時間勤務、時差勤務も制定し、これらを病状や治療のスケジュールに合わせて組み合わせて使用できるようにしました。『1』か『0』かという休み方ではなく、柔軟性のある休み方の実現が、がんの治療と仕事の継続には不可欠だと思います」(竹田人事部長)

より重要な「職場の理解」

 制度の充実や本人の意識の問題はもちろん、さらに重要になるのが職場の理解だ。がんに罹患した当人が後ろめたいような気持ちを持たずににいかに治療に臨めるか、そうした環境作りも不可欠になる。

 そこで同社では制度の運用にあたり、まず、職場のマネージャー層を全員集めて、がんという疾患やその治療についての説明会を実施。その後、マネージャーに部下たちに伝える“語り部”となってもらうことで、職場全体への理解を深めていくようにしている。周囲の理解がないなかで制度だけを導入しても、何の意味もないからだ。

 同社の場合、長年にわたって健康経営に取り組んできた企業文化やトップのメッセージ力もあって、社員への浸透が早かったというが、これから制度の導入を考えている企業は、まずは勉強会などを実施して、社員の意識を高めることが必要だろう。