「がんに罹患したとしても、本人が安心してそれを職場で相談し、職場の仲間が皆で支援をすることができるような仕組み・体制を作りたい」(岡藤正広・伊藤忠商事社長)
伊藤忠商事は8月21日、社員に対するがんの予防や治療支援の強化を打ち出した。
きっかけは今年2月、社員からきた一通のメールだった。
ガンで長期療養中だったその社員は、会社からの医療費補助などの制度や、多くの社員からの支援に対して「伊藤忠が一番いい会社」と感謝を綴った。
しかし、その社員はほどなくして死去。その悲報を受け、「故人が残した言葉に相応しい素晴らしい会社にしたい」との岡藤社長の思いから、今回の制度導入に至ったという。
今や日本人の2人に1人ががんに罹患するといわれる時代だ。毎年約85万人ががんと診断されるが、その3割は就労世代。伊藤忠でも現役社員の病死原因の9割ががんだという。
こうした中、がんと診断されても安心して働き続けられるよう、予防、治療、共生のそれぞれにおいて支援策を拡充する。今回の取り組みは主に四つある。