仕入れは格闘技、商品開発こそがダイソーの命

 思えば贅沢な時代だ。すぐには必要ないものでも気にせず買ってくれるお客さまがこんなにいるのだから。初期のころの100均一のお客さまは、生活に必要な小物や雑貨を買い求めていた。それが今は、なんの役に立つのかわからないオフザケ商品でもバンバン売れる(私はそういうのが大好きで、いつも身につけているのだが)。言い換えれば、100円で楽しめる贅沢を提供しているというわけだ。

 特に若い女性用の商品の場合、機能より可愛さが優先。そこで、「ガールズトレンド研究所」とのコラボとして10代女子に人気のあるモデルを起用した。彼女にはバイヤーとともに商品開発や商品プロデュースにも協力してもらった。

 3月には、若い女性向けのファッションイベント「関西コレクション」(関コレと呼ぶらしい)とコラボした商品も発売した。以前のダイソーといえばダサいイメージがあったようだが、最近はオシャレな女子にも人気なのだ。

 商品開発こそがダイソーの命なので、ここに妥協は許されない。現在、バイヤーは30人いるが、彼ら彼女らにいつも言っているのは「仕入れは格闘技」ということだ。10年前くらいまで、私はとにかく社員を真剣に怒り厳しさを教え込んだ。お客さまのことを最優先に考え、より良い商品を作ることに真剣に取り組まない者は、社員だろうが売り込みに来たメーカーや商社の営業マンだろうが、一生懸命に怒ることで商品にこだわり続けた。

 これは子どもの頃、親父に「勉強せぇ、働け!」といつも怒鳴られていた体験が根底にあるのと、第2回で紹介したイトーヨーカ堂の創業者・伊藤雅俊さんを訪ねたときに見た厳しい姿も影響している。伊藤さんは、担当者にいろいろ細かい質問をぶつけ、満足な答えが返ってこなかったら、われわれの前であっても遠慮なく叱りつけていた。セブン-イレブン・ジャパンの社長をされていた鈴木敏文さんもそうだった。自社商品に納得がいかないとやはり、担当者を叱り飛ばしていた。

 商品を作る側、売る側が緊張感をもって臨まないと、最終的にはお客さまのためにならないということなのだ。

 ただ、この数年はめっきり怒ることがなくなった。これからは社内ににらみを効かせるのは社長の靖二に任せようと思う。

(大創産業会長 矢野博丈)

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