
トヨタ自動車などが進める豊田自動織機の非公開化を資金面で支えるのが、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行の3メガバンクだ。ダイヤモンド編集部の取材で、その融資シェアが判明した。融資比率が示すのは、三菱UFJ銀行が“主導役”であるという一般的な見方と実態との間には、微妙なズレがあるということだ。(ダイヤモンド編集部 永吉泰貴、山本興陽)
メガバンク3行の出資比率から分かる
トヨタとの微妙な関係性とは!?
誰がトヨタグループに最も近づき、誰が一歩引いたのか――。豊田自動織機の株式非公開化を巡る巨額融資における、メガバンク3行の立ち位置が明らかになった。
トヨタ自動車(以下、トヨタ)、トヨタ不動産、そして両社の会長である豊田章男氏が出資するSPC(特別目的会社)が、2025年12月をめどにTOB(株式公開買い付け)を実施する。TOBによる買収総額は、約4兆7000億円となる。
6月3日には、1株1万6300円の買い付け価格が公表された。発表時の株価(1万8300円台)を大きく下回るディスカウントTOBに、市場では反発の声が広がっている。
だが、注目すべきはTOB価格だけではない。水面下では、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行の3行による2.8兆円規模の巨額融資を巡り、腹を探り合う駆け引きが繰り広げられていた。これまで詳細は明かされてこなかったが、ダイヤモンド編集部の取材により、買収後の運転資金として用意されるコミットメントラインなどを含めた各行の融資シェアが判明した。
表向き、融資の主導権を握るのは、これまで豊田織機の案件を主導してきた三菱UFJである。しかし融資比率に目を向けると、一般的な見方と実態の“ねじれ”が浮かび上がってきた。
果たして、トヨタの本流に最も深く食い込んだメガバンクはどこか。次ページでは3行の融資比率を公開し、背景にあるトヨタとの関係を読み解く。