さらに、小型衛星の活用は気象だけではありません。小型衛星による地球観測では、例えば、農業、林業、水産業などの一次産業に利用され、これらの産業の効率化、精密化に貢献しています。

 地球観測衛星に搭載されているセンサーでは、栽培している作物の生育状態や糖度など作物の質も、小型衛星で把握することができます。

 健康な植物は赤外線を反射しますので、その赤外線量を人工衛星でキャッチして、農家に情報を提供しています。これによって農家は作物の状況を把握できるだけでなく、必要な場所だけに肥料をまくなど、農業をさらに効率化させることができます。

 小型衛星ベンチャーと農業関連企業の連携では、プラネットの事例があります。プラネットはこれまでに150機以上の衛星を打ち上げて、同一地点を1日1回以上、3~5メートルの解像度で撮影可能な衛星システムを構築しています。

 2015年にアメリカ有数の農業化学メーカーと農業分野向けの地球観測画像を提供する契約を結び、アメリカの農業支援プラットフォームに高頻度の地球観測画像を提供しています。

 この農業支援プラットフォームは、収穫量モニタリング、作付けマップ、農業記録などのサービスをクラウドベースで提供しています。潜在リスクの把握・軽減や、生産性向上を支援するプラットフォームとなっています。