専用ターミナルでは出入国手続きがスムーズになる

 成田空港にビジネスジェット、すなわちエグゼクティブのプライベートジェット機の専用ターミナルがオープンした。

 ビジネスジェットといえば、1機数十億円する超高級な乗り物。別世界のイメージが漂うが、3月31日にオープンした専用ターミナルは、必ずしも豪華ではなく、至って簡素なものだ。

 ここで実現されているのは、ビジネスジェットの本質的な二つのメリット、時間の短縮とプライバシー性という機能だ。CIQ(税関、出入り口管理、検疫)を備えており、スムーズに出入国できる。専用ターミナルだから、他の利用者と鉢合わせすることがない。その点では、エグゼクティブにとっての利便性は格段に向上した。

 欧米ではビジネスジェットが普及しており、空港にも専用設備が整っている。ところが、成田空港でも1ヵ月に100便のビジネスジェットが発着するが、専用設備がなかった。そのため、せっかく自家用機で乗り込んで時間とプライバシーを確保しようにも、一般客と同じ列に並んで出入国手続きをしなければならなかった。

 原因は、首都圏空港の発着枠がタイトだったことにあるが、成田空港は2010年には年間20万回だった発着枠が段階的に広がり14年には30万回になる。そのため余裕が生まれ、専用ターミナルの設置が可能になった。

 これをきっかけにエアバスは早速、日本の客からビジネスジェットを初受注した。今後は、欧米のみならず中国からの利用が見込まれる。

 さらに、成田空港には15年にLCC(格安航空)専用ターミナルができる予定だ。利用客を引きつける装置は整いつつある。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 須賀彩子)

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