経営再建途上の日本航空(JAL)が撤退した路線を狙って、外資エアラインが攻勢をかけている。ガルーダ・インドネシア航空は、4月28日から羽田~バリ(デンパサール)直行便を週5便開設。現状の成田~バリ週7便に加えて増便するものだ。
日本人が好む有数のリゾート・バリへは、かつてはガルーダとJALが直行便を飛ばしていた。だが、JALは2010年の倒産に伴い国際線では採算性の悪いリゾート路線から撤退、バリ便もその一つだった。そのため、供給がタイトになっている。ガルーダによると、年平均で85%以上の搭乗率があるという。
だが、増便に課題がないわけではない。
羽田空港は、中長距離国際線は深夜枠の利用に限られる。出発は深夜1時、到着は23時30分のため、利用者は羽田空港の利用に公共交通機関が使えない。
そして、こうした路線を狙っているのはガルーダだけではないことだ。例えば、シンガポール航空は、10年10月に羽田空港の国際化がスタートした時点で、羽田~シンガポール便を1日2便開設、シンガポール経由でもバリへ行きやすくなった。
さらに、今後の参入が見込まれるのが、ローコストキャリア(LCC)だ。全日本空輸(ANA)は、自社が就航していないリゾート路線には、傘下のLCCを就航させたい意向を持っている。将来的にはLCCのエアアジア・ジャパンなどが就航する公算が大きい。
いったん撤退した路線は、すぐさま他社の草刈り場となる。世界の空は大混戦時代に突入している。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 須賀彩子)