感情として受けたものをスコア化し、貨幣と異なる経済価値に

 そして、これらを可能にしているのが、クルマに乗っている人とクルマを必要としている人をネットワーク化したプラットフォームと、それを支えるテクノロジーである。

 特にドライバーの評価システムというのは、Airbnbなど他のシェアリングエコノミービジネスにも見られるものだが、数多くの人々が感情として受けたものをスコア化することで、そのスコアの高いものはより機会を得て、そうでないものは淘汰されるという仕組みで、それは人々がネットワーク化されたからこそ可能となる。

 これぞまさに「評価経済(※)」と呼べるもので、高い評価を与えられた人は、貨幣とは異なる経済価値を与えられたようなものである。

※「評価経済」という言葉は、もともと岡田斗司夫氏が提唱したもので、その基本的考え方については、その著書『評価経済社会――ぼくらは世界の変わり目に立ち会っている』(ダイヤモンド社、2011年)に詳しい。

 そして、これもAirbnbと同様だが、供給側だけではなく需要側(利用者側)も同様の評価の対象になるということがユニークな点である。

 タクシードライバー側の視点から言うと、どんな客が乗って来るのか、乗って来るまでわからないことが多い。日本においてすら、タクシー強盗は頻繁に発生しているという。

 またAirbnbのように自分が所有する家や部屋を貸すとなると、その宿泊客の評価というのは極めて重要な判断材料となりうる。だから事前に部屋を予約した客の評価がわかれば、そして理由をつけて断ることも可能となれば、どんなに安心かわからない。

AirbnbやUberから学ぶマネタイズできるコミュニティの仕組み「時空を制する」ことによる経済空間の形成