約3年の月日をかけて、伝説の名著3部作・計4冊2000ページ超が1冊に凝縮された『最強のコピーライティングバイブル』は高額書籍ながら発売以来第5刷となり、コピーライティングの定番書になってきた。
その中身は、鉄板の法則を「骨」とし、国内成功24業種100事例で解説されている。
「男はつらいよ」の新作が22年ぶりに来年公開となるという。今回は、『最強のコピーライティングバイブル』著者・横田伊佐男氏による熱い寄稿をお届けしよう。
全作品中、わずか2分間の凄腕セールストーク
40代以上には何とも懐かしく、新しい情報が入ってきた。
松竹が人気映画シリーズ「男はつらいよ」の新作を22年ぶりに製作し、2019年に公開することを発表した。
主演の渥美清氏は既に他界しているが、過去の名シリーズ名場面と新たなシーンを組み合わせて構成予定とのことで、来月10月から撮影がスタートする(出所:2018年9月6日、「日本経済新聞」夕刊)。
渥美清氏演じる主人公である車寅次郎、通称「フーテンの寅」は全国を渡り歩く行商人だ。ひとつの場所に縛られない自由気ままな寅次郎の働き方は、現代の新たな働き方そのものであり、時代がようやく当時の寅次郎に追いついてきた感がある。
さて、自由気ままな寅次郎は果たして稼げる実力を持っていたのだろうか?
行商人としてのプロの腕前は、いかほどだったのだろうか?
これまで公開された49作品のほとんどは、寅次郎の恋愛悲恋にまつわる人情喜劇を描いており、残念ながら行商人としての腕前はほとんど見ることができない。
しかしながら、膨大なシリーズのわずか2分ほどのシーンにのみ、プロ行商人としての凄腕セールステクニックが垣間見られる作品がある。
1994年公開の「男はつらいよ 拝啓車寅次郎様」だ。
そのシーンは、営業サラリーマンになりたての甥・満男(演者は吉岡秀隆)が親戚縁者の集う場で愚痴をこぼすところから始まる。
愚痴を受け止めながら、寅次郎はそばにある鉛筆を「俺に売ってみろ」と甥に勝負を持ちかけるのだ。ここで寅次郎と甥の営業ロールプレイングが始まる。
甥は何の変哲もない鉛筆にとまどいながら、「鉛筆買ってください。消しゴム付きですよ」とセールスを始めるも、寅次郎から「要らない」と断られ、二の句が出ずにギブアップしてしまう。
すると、今度は寅次郎が鉛筆を持ってセールス役を担うというシーンだ。
読者諸氏なら、何の変哲もない鉛筆をどんなセールストークで売るだろうか。
結論から言うと、寅次郎は見事なセールストークを展開し、わずか2分間で甥から気持ちよくお金を出させ、鉛筆を売ってしまった。
一体、どんなセールストークを使ったのだろうか?