課長クラス以上のマネジャーにとって「会議術」は、チームの生産性を上げるために必須のスキルです。ところが、私たちには「会議術」を体系的に学ぶ機会がほとんどありませんから、悩んでいるマネジャーも多いのではないでしょうか? そこで、ソフトバンク在籍時に「会議術」を磨き上げ、マネジャーとして大きな実績を残した前田鎌利さんに『最高品質の会議術』(ダイヤモンド社)をまとめていただきました。本連載では、その内容を抜粋して掲載してまいります。

孫正義社長に学んだ「信頼されるマネジャー」の鉄則

会議では「ポーカーフェイス」に徹する

 私はソフトバンクでマネジャーを務めていたとき、定例会議のファシリテーションはできるだけメンバーに任せるようにしていました(その理由は連載第25回参照)。

 そして、その間、発言はなるべく控えて、メンバー間のディスカッションをじっくり吟味することに集中。重要なのは、先入観を捨てて、交わされる意見に虚心坦懐に耳を傾けることだと考えていました。

 私が主催していた定例会議の議題に上がる提案は、1on1ミーティングや少人数ミーティングを経て、私自身が「勝算7割以上」と判断した提案でしたが、何事も「完璧」ということはあり得ません。

 担当者以外のメンバーから、確認事項や疑問点を指摘されることで、意識していなかった問題点が明らかになるケースは非常に多いものです。だからこそ、定例会議で最終チェックをかける意味があるのですから、その指摘を真摯に受け止める余裕をもつことが欠かせません。

 また、提案にA案B案と2つ以上の選択肢が用意されている場合、メンバーの間での意見が拮抗する局面もあります。その場合も、自分が有力だと考えている案にこだわってはなりません。

 自分が支持している案を推す意見が出たときに、表情をほころばせるようなこともご法度。その瞬間に、メンバーが「こっちのほうがいいのか」と忖度を始めるおそれがあるからです。常にポーカーフェイスで、メンバーのディスカッションを聞きながら、改めて、ゼロベースでどちらの案が最適解なのかを熟考することが不可欠です。