とことん「目標達成」にこだわり抜く

 そして、「勝率7割」と判断したうえで意思決定した結果、失敗した場合に恥じる必要はありません。
 そもそも、100%成功する意思決定というものは、この世には存在しません。意思決定とは、どうなるか誰にもわからない「未来」に向けて行うものですから、失敗する可能性を常に含んでいるものなのです。むしろ、失敗したことで、可能性のひとつが消えたわけですから、成功に向けて照準が絞られたと捉えるべきです。

 失敗したときに重要なのは、それを潔く認めて、責任を取る姿勢を明示することです。意思決定したのはマネジャーですから、決して、担当者の責任に帰すような言動を取ってはなりません。

 何よりも重要なのは、あくまでも目標を達成するために、メンバーを励ましながら、自ら先頭を切って前進し続けることです。新たな意思決定をして、その決定事項を徹底してやり抜く。目標を完遂するために、メンバーの誰よりも真剣に考え、こだわり抜く。その後ろ姿を見せることが、最も重要なのです。

 なぜなら、その後ろ姿を見たメンバーは、必ず、意思決定の重さを学ぶからです。何かを意思決定するとは、その決定を完遂することにコミットすることにほかなりません。その重さを知ったメンバーは、自然と、一つひとつの提案の質を高める努力をし始めますし、実りのある会議を実現するために貢献しようとし始めるのです。これこそが、「会議の品質」を高める最大の原動力となるのです。

 そして、「会議の品質」を高めることで、必ず、メンバーのモチベーションが高まり、チームの生産性は最大化されます。

 メンバーがモチベーションを上げるために最も重要なことは何か?
 それは、自らが考えた施策を、自らの力で実践して、成功を収めることです。そのためには、マネジャーがメンバーの主体性を保証しながら、適切に提案内容の水準を高め、マネジャーのリスクのもと意思決定を行う。失敗したときにはマネジャーが責任を取り、メンバーには再度チャンスを与える。こうして、PDCAサイクルを回すことで、メンバー自らの力で「成功」を勝ち取る。そのときに、彼らのモチベーションは最大化されるのです。

 そして、メンバー一人ひとりの成長段階に合わせて「成功体験」を積ませることで、チーム全体のモチベーションが上がり、生産性も最大化されるのです。

☆ps.
 前田鎌利さんは、ソフトバンク時代に孫正義社長から実に多くのことを学んできました。こちらの記事では、孫社長から学んだ「意思決定の品質」についての考え方がまとめられています。また、こちらの記事では、孫社長に何度もプレゼンをするなかで学んだ「社内プレゼンの奥義」がまとめられています。ぜひ、あわせてお読みください。