課長クラス以上のマネジャーにとって「会議術」は、チームの生産性を上げるために必須のスキルです。ところが、私たちには「会議術」を体系的に学ぶ機会がほとんどありませんから、悩んでいるマネジャーも多いのではないでしょうか? そこで、ソフトバンク在籍時に「会議術」を磨き上げ、マネジャーとして大きな実績を残した前田鎌利さんに『最高品質の会議術』(ダイヤモンド社)をまとめていただきました。本連載では、その内容を抜粋して掲載してまいります。
「Q&A会議」で社内合意を得る
私はソフトバンクのマネジャー時代に、「Q&A会議」というブレスト会議をしばしば行っていました。この「Q&A会議」は、プロジェクト担当者がかなりの程度、提案内容を固めた段階で行うことが多いもので、その提案書のドラフトを共有したうえで、参加者から質問を投げかけてもらうことで、「“抜け漏れ”はないか?」「論理的に整合性があるか?」などを確認する会議です。
この会議は、比較的小さな案件の場合にはわざわざ開く必要はありませんが、最終的には上層部の会議などで決裁を得なければならないような、一定規模以上の案件の場合はできるだけ開くようにしていました。
重要なのは、「Q&A会議」に、チーム内のメンバーだけではなく、他部署の担当者をアサインすることです。特に重要なのは、そのプロジェクトに何らかの関係が発生する本社の他部署の担当者をアサインすることです。上層部の会議で一発で決裁を勝ち取るためにも、彼らの意見を、この段階で反映させておくことに大きな意味があるからです。
まず第一に、財務部門からは費用対効果、営業部門からは実現可能性など、他部署の観点から「疑問点」などを指摘してもらえば、提案内容は確実にブラッシュアップされるでしょう。
第二に、このプロセスを経ることで、彼らにもこのプロジェクトについて当事者意識をもってもらえるメリットが生まれます。これが極めて重要です。事前に彼らの意見を聞かないまま、上層部会議にかければ、それだけで「なぜ、相談がなかったのか?」と反感を買いかねません。それよりも、事前に彼らの意見を聞くひと手間をかけることで、上層部の会議で“味方”になってもらう努力をしたほうがいいのです。社内調整の下手なマネジャーは、メンバーが仕事をスムースに進める邪魔をしてしまいますから、これはマネジャーの力量として意外と重要なポイントと言えるでしょう。
ですから、私がマネジャーだったころ、重要案件の担当者には、「Q&A会議」の開催を促すとともに、アサインすべき関係部署の担当者について示唆を与えるように努めていました。