課長クラス以上のマネジャーにとって「会議術」は、チームの生産性を上げるために必須のスキルです。ところが、私たちには「会議術」を体系的に学ぶ機会がほとんどありませんから、悩んでいるマネジャーも多いのではないでしょうか? そこで、ソフトバンク在籍時に「会議術」を磨き上げ、マネジャーとして大きな実績を残した前田鎌利さんに『最高品質の会議術』(ダイヤモンド社)をまとめていただきました。本連載では、その内容を抜粋して掲載してまいります。
「それは事実か?」「なぜ、そうなるのか?」
自分の頭で考えるメンバーを増やすことが、会議の品質を高める唯一の方法です。
そのためには、1on1ミーティング、少人数ミーティング、定例会議のすべてにおいて、マネジャーは「指示」ではなく「質問」を第一にしながら、コミュニケーションを深めていくことが重要です。「質問」によって、メンバーが自らの頭で「最適解」を見出してもらう。これが会議におけるマネジャーの基本姿勢でなければなりません。
では、メンバーの提案に対して、何を質問すればいいのでしょうか?
私は、下図のように、4つの観点で質問をするように心がけていました。
まず第一に「それは事実か?」という観点です。当たり前のことですが、仕事の基本は事実をしっかりと確認すること。事実に基づかない提案・施策は必ず失敗しますから、この観点は絶対に外してはなりません。言い換えれば、提案内容の「詳細」を深掘りすることで、「それは事実かどうか?」を確認することと言ってもよいでしょう。
第二に、「なぜ、そうなのか?」という観点です。提案者の主張の「根拠」を確認するわけです。根拠薄弱な主張は「単なる思い込み」として認めるわけにはいきませんから、これも非常に重要なポイントです。
もちろん、着想の段階で提案者の「これだ!」という直感は大切ですが、その直感を裏づける根拠を集めることによって、提案に自信も備わりますし、成功確率も確実に上がります。ですから、マネジャーは随時、「なぜ、そうなのか?」と質問することによって、提案の根拠を固めるように促す必要があるのです。