課長クラス以上のマネジャーにとって「会議術」は、チームの生産性を上げるために必須のスキルです。ところが、私たちには「会議術」を体系的に学ぶ機会がほとんどありませんから、悩んでいるマネジャーも多いのではないでしょうか? そこで、ソフトバンク在籍時に「会議術」を磨き上げ、マネジャーとして大きな実績を残した前田鎌利さんに『最高品質の会議術』(ダイヤモンド社)をまとめていただきました。本連載では、その内容を抜粋して掲載してまいります。

なぜ、マネジャーが「仕切る」のをやめると、会議の品質が上がるのか?

定例会議は「最終チェック」の場

 会議におけるマネジャーとメンバーとのコミュニケーションの基本は「質問」です。そして、1on1ミーティングや少人数ミーティングを活性化して、その場で「質問」を主体にしながらメンバーの提案内容をブラッシュアップ。「7割の勝算がある」(連載第4回参照)と判断できる水準までこぎ着けた提案については、次々と意思決定をしていくことになります。

 連載第5回で触れたように、定例会議にかけるのは、重要性の高い案件や、メンバー全員に関係するような案件のみでOK。それ以外の案件については、1on1ミーティングや少人数ミーティングの場で積極的に意思決定していくスピード感が重要です。そして、ごく限られた案件のみ、定例会議での意思決定ルートに乗せるわけです。

 もうお気づきかと思いますが、上記のようなプロセスを経るということは、定例会議にかける段階で、マネジャーとしては「7割の勝算がある」と判断しているということです。

 しかも、重要案件であればブレスト会議も行っていることが多いですから、担当者以外のメンバーの意見も反映済みです。ブレスト会議を開かなかったとしても、多くても十数人のチーム内の話ですから、少しでも関係がありそうなメンバーには気軽に声をかけて意見を聞いておけば済む話です。

 つまり、定例会議にかける段階で、ほぼチーム内の合意は得ている状態なのです。だからこそ、私が実践していたように、定例会議を原則30分で行うことができるのだとも言えます。とは言え、“シャンシャン会議”をやるということではありません。重要案件であるからこそ、十分に練り上げてきた提案を厳しい目で最終チェックする。そして、“抜け漏れ”がないかを確認するとともに、少しでも成功確率を上げるために知恵を出し合う。それが、定例会議の役割なのです。