不幸な状態を解消するため
サポーターに現状を赤裸々に報告

 まだ資金力が乏しく、必ずしも勝てるチームではなかったころ、野々村社長はサポーターに対してプレゼンテーションを実施している。例えば2016年シーズンを前にした1月の「北海道コンサドーレ札幌キックオフ2016」では、2013年からの比較で強化費が3倍になったこと、またプロモーション費用を3年で8倍にしたことが伝えられている。

コンサドーレ札幌を立て直した野々村社長
Photo by T.E

 狙いは、コンサドーレの実態や立ち位置などを、サポーターにも理解してもらうためだった。

「札幌ドームのビジョンを使って、いろいろなデータを見てもらいました。つまり、コンサドーレにはこれくらいの資金しかなくて、他のクラブはこれだけ持っている。現状これでは勝てないが、だけど必ず何年か後にこの金額にして勝てるようにしますということを伝えました」

 これは、コンサドーレが置かれていた「不幸な状態」を解消するためのものだと野々村社長は続ける。

「一番不幸だと思ったのは、コンサドーレはそれなりに大きなクラブで、強いはずだと思っている人がいっぱいいたことでした」

 だが、現状をサポーターに示し、実際はそうではないんだということを理解してもらおうとしたわけだ。野々村社長の真意は、「だから、このままでいいわけではなくて、ここから一緒に成長していこうという“絵”をしっかり提供したかった」ところにある。

 現状を把握し、明確化された目標をチームとサポーターが共有したとき「スタジアムの雰囲気って絶対によくなるんですよ。ちょっとうまくいかなくても、ブーイングする人が圧倒的に減る」ことを確信していたというのだ。

 だから、このプレゼンで、「例えば2016年のJ2のとき、強化費でいうとセレッソ(14.9億円)とか清水(14.7億円)とは7億円くらいの差がある(コンサドーレは7億円)。でもそのくらいの差は、ホームのスタジアムの雰囲気で埋めていただきたいといった話をしました」

「そのくらいの差」と言っても7億円は大金だが、ホームの雰囲気で埋めた結果、2016年、コンサドーレはJ2で優勝を果たした。