高い利益を確保するためには
「ごく当たり前の戦略」

 このように伊藤忠の戦略を見ていくと、買収した後に効率的に事業統合を進め、不採算部門を切り離し、時にはマネタイズすることで買収資金の一部を回収する。すばらしい戦略だ。

「買収先企業や、その企業が持つブランドをコモディティー(商品)と見れば、ブランドの統合や売却、切り離しは、より高い利益を確保するためのごく当たり前の行為」(証券アナリスト)だ。しかし、買収された側の社員やブランド担当者は、切り捨てられることになる。

 社長就任後1年あまりのダイヤモンド・オンライン2011年3月7日公開の記事「伊藤忠商事 岡藤正広社長インタビュー『社内のルールに縛られるな 儲けとリスクを己で判断せよ』」で、岡藤会長は、人材育成について問われ「われわれは商売をしているのだ。会社にとって儲かる話なのか、そうでないのか。それを見極めることが重要だ」と語っている。

 王道を行く三菱商事、資源に傾注する三井物産、そして最も金融らしい事業モデルを取り込み果敢に攻める伊藤忠。商社ビジネスも多角化する中、どこが生き残っていくのか目が離せない。

※記事初出時、以下の部分に間違いがありましたので、現状のように訂正・修正しお詫びいたします。
▼ユニー・ファミリーマートホールディングスを傘下に収め、後に100%子会社としている。
▼2010年に格安の約88億円で買収したレリアンでは、2年もたたないうちに傘下にあった食品のアーデンとアパレルのプロシードを売却。これにより、買収額の少なくとも3分の1近くを回収している。
▼一部では、125億円相当の資産価値があるとされていたレリアンを3分の2程度で手中に収めたのは、当時、社長に就任した岡藤現会長の「剛腕」ぶりを物語るものだろう。
▼2009年に伊藤忠が10億円も使わずに筆頭株主となった、女性用高級補正下着メーカーのマルコは、2017年に「ライザップ」を運営する健康コーポレーションが第三者割当増資を約28億円で引き受ける形で子会社化し、静かにエグジットを図っている。第三者割当増資であるため単純計算はできないが、差額は大手投資ファンドもうらやむような300%近いリターンとなる。