三菱商事、三井物産、住友商事、伊藤忠商事、丸紅……半世紀以上にわたり、大学生の就職人気ランキングのトップ10の常連に入る総合商社。しかし1980年代には「商社不要論」が巻き起こり、インターネットの時代になるとさらに存亡の機にも直面した。それでも、なぜ総合商社は今も求められる存在なのか。彼らの存在価値から、新時代の再編を生き抜くヒントが見えてくる。グーグル、ソフトバンク、ツイッター、LINEで「日本侵略」を担ってきた戦略統括者・葉村真樹氏の新刊『破壊――新旧激突時代を生き抜く生存戦略』から、内容の一部を特別公開する。落合陽一氏推薦!

ラーメンからミサイルまで売る総合商社の存在価値

 ソフトバンクが誕生するはるか以前、前回の東京オリンピック(1964年開催)の頃から実に半世紀以上にわたって、男子大学生の就職人気ランキングのトップ10の常連と言えば、総合商社である。

 三菱商事、三井物産、住友商事、伊藤忠商事、丸紅といった企業は、人気ランキングの他の顔ぶれが時代によって、重厚長大産業から電機メーカー、金融機関、マスコミ、広告会社などと変遷する中で、常に高い支持を得ている。

 総合商社は「日本にしかない業態」ともいわれ、いわば「ラーメンからミサイルまで」、幅広い商品・サービスについての輸出入貿易および国内販売を業務の中心にしていた。言ってみれば幅広い商品・サービスを対象とした卸売業者に過ぎない。

 しかし、貿易立国であることが国の経済成長の柱であった戦前、そして特に戦後の高度経済成長期の日本においては経済成長の牽引役であり、大学生にとっても花形的存在であったのは必然であった。

 しかし、1980年代に素材メーカーを中心に、需要サイドとの共同開発などの取り組みとともに、資金力が高まったことにより、独自の販売網を構築したことで、商社排除が実際に進行するようになる。

 また、商社金融に依存することが大きかった中小企業への貸出に都市銀行が進出したことで、総合商社が取引に関与する必要性が大きく低下する事態が生じた。いわゆる「商社不要論」である。

 さらに、1990年代に入り、本格的にインターネットが普及すると、供給側と需要側が直接取引を行うことが技術的に容易になるため、「中間業者不要論」が盛んに喧伝され、これまで何度も自らの「存在価値」の存亡の機に直面してきた。