【おとなの漫画評 Vol.6】
『ゴールデンカムイ』野田サトル
既刊15巻 2018年10月現在 集英社
9月にコミックス第15巻が発売されたばかりの『ゴールデンカムイ』の舞台は20世紀初頭、明治時代後期の北海道である。日露戦争(1904~05年)直後、復員した陸軍一等兵、杉元佐一が主人公だ。ある理由で北海道へ渡り、砂金を採っている。そこで、5年前に何者かがアイヌの所有する莫大な金塊を、アイヌを殺害して奪い、隠匿した事件があったことを知る。この金塊をめぐって繰り広げられる冒険物語である。
可憐で強いアイヌの少女と
元陸軍一等兵の最強タッグ
杉元はある日、ヒグマに襲われていたところをアイヌの少女アシリパに救われる。アシリパが、金塊を奪われて殺されたアイヌの娘だったことがわかり、杉元とアシリパは共に行動することになる。金塊の大半をアイヌに返すことが条件だ。アシリパはかわいらしい少女だが、弓や刃物の扱いには熟達している。
アイヌ金塊の強奪犯は網走の監獄に収監されていたが、金塊を隠した場所を囚人24人の背中に刺青(いれずみ)として刻印し、脱獄させた。全員の刺青を集めなければ場所を特定できない。杉元らは彼らを捕捉し、殺して皮を剥いでいくことになる(写生で済ますこともあるが)。
金塊をめぐって殺し合うロードムービーで、暴力描写も過激だが、絵は滑らかで美しく、自然や動物の描写もすばらしい。