シガレット(紙巻きたばこ)市場は対前年比で10%以上減っていますが、加熱式は日本で勢いよく成長している。たばこ市場全体における加熱式のシェアは16年末で全体の12%ぐらい、17年末では18%ぐらい。シガレット市場が縮小する中で、加熱式にしっかり参入してシェアを取っていくのは急務です。

──シェア40%は、なかなか高い目標です。

 私としては十分達成可能な数字だと考えています。

 一番リードしている会社(編集部注:PMI)が、ここまで大体2年間で13%ぐらいの市場(たばこ全体)を取りました。

 で、私たちは、3年間で加熱式たばこのシェア40%と言っています。いろいろなシナリオがありますが、20年末で、加熱式たばこ市場が30%超ぐらいのシェアになるとすると、掛け算して日本市場の中で12%のシェアを取るという計算になる。つまり、競合他社が出した実績より、それでも低いわけです。

 いかんせん今まではプルームテックの製造そのものが遅れていて、商品力どうのこうので負けているわけではなく、供給が全くなく、スタート地点にも立てていないという状況だった。今、生産体制の立ち上げに向けて総力を挙げているところです。

 供給さえ整えば、われわれの営業力やマーケティング力、味などを考えると、12%は決して達成不可能な数字だとは思いませんね。

──高温加熱タイプも投入します。

 他社と同じようなスティックタイプで、たばこに近い使い方のものになるでしょう。他社製品の対抗馬として出していきます。後発で出す以上、デバイスの使いやすさや味の良さ、においの少なさなど、商品力で勝てるものを開発しています。

 プルームテックの課題は吸い応え。そこに対処するためのバージョンアップ品も投入します。高温タイプと併せて、年末から来年の頭ぐらいに発売できる状態にしていきたい。

 9月から全国販売するプルームテックでスタートを切り、来年にプルームテックのバージョンアップ品と高温タイプと、“三段ロケット”で、反転攻勢をかけていきます。

──早期投入が反撃の要ですが、新製品の年内発売はありますか?

 状況次第ですね。例えばですけど、福岡とか東京ならプルームテックは前から展開しているので、新しい製品はそこから先に投入するとか、考えはいろいろあります。

 悩ましいのは10月にある加熱式たばこなどの増税。私たちは加熱式ではフォロワーなので、プライスリーダーシップを取れる状況にはない。増税に対する他社の状況を見ながら製品投入の時期も考えていきます。

──増税や受動喫煙の影響は?

 受動喫煙に関しては、閣議決定されたもののまだあやふやな部分もあり、影響は読めていない。ただ、業界全てに影響があるので、シェアの意味では戦略は大きく変わりません。

 増税に関しては、加熱式は5年かけて上がりますが、先が見えるというのは日本においては画期的です。増税自体は歓迎ではありませんが、将来の予見性は高まるので、プライシングやポートフォリオの組み合わせなど、打つ手の幅は広がりました。

 プルームテックの税率は、今が圧倒的に低いので増税幅も大きいけれど、計算上、増税後でも他社の製品よりは低く、紙巻きからはさらに低い。これから量産化し、さまざまなコストダウン案があるので、マージン(粗利)自体は大きく痛まずに調整できると考えています。収益への悪影響はあまりありません。

 この5年はある意味、猶予期間。3年でまずは戦えるシェアを達成するために、私自身がリーダーシップを発揮して取り組んでいきます。

寺畠正道●JT社長
てらばたけ・まさみち/1989年京都大学卒業後、JTに入社。2008年経営企画部長、11年執行役員、13年JTインターナショナル副社長を経て、18年より現職。

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