了峰寺(京都) 投稿者: @yokki256 [9月3日]

叱ると怒るは違うこと

「何故か叱る人は少なくなり 怒る人は多くなり」

 みなさんは「叱る」と「怒る」の違いって分かりますか?

『広辞苑』(岩波書店)で見ると、「叱る」と「怒る」とはだいぶニュアンスの異なる言葉だと分かります。

【怒る】 1 不満・不快なことがあって、がまんできない気持ちを表す。
腹を立てる。いかる。 2 よくない言動を強くとがめる。しかる。

【叱る】 目下の者の言動のよくない点などを指摘して、強くとがめる。
            
 「怒る」の説明の中に「しかる」という言葉も出てくることから、同じような意味だと捉えるひとが多いと思いますが、大きな違いがあります。「怒る」は自己の一人よがりの感情でしかなく、「叱る」は相手のことを考えた上での行為である点です。

心光寺(東京) 投稿者: @1031_415  [8月25日]

怒るは三毒の1つ

「三毒(さんどく)」という言葉があります。

 仏教において克服すべき根本的な3つの煩悩のことです。貪(とん)・瞋(しん)・癡(ち)を指しますが、この内の「瞋」が自己中心的な心で怒ることを意味しています。怒る人が増えているということは自己中心的な人が増えているということです。

 一方で、「叱る」は他者のためを思っての行動ということで、慈悲の気持ちからくるものともいえるでしょう。「怒り」と「叱り」の違いについて、本人はあまり自覚がないかもしれませんが、周囲からはよくわかるものです。いつも自分勝手に怒っていると、人の気持ちが離れていき、知らぬ間に孤立してしまいます。そういう人が職場にいませんか?

 2つ目の標語はこう語りかけてきます。

「おかげさま」といえる人生に孤独はない

 たびたびこの連載でも説いていますが、仏教には「縁起」という教えがあります。自分は世界のあらゆるものと関わっていて、それらのおかげで成り立っているということです。このことをよく理解し、普段から周りの人たちに対して「おかげさま」という気持ちをしっかりもっていれば、「怒る」のではなく、自然と「叱る」かたちになるはずです。

 職場で怒鳴りまくっている上司のみなさんは、部下のおかげでいまの自分があることに一度想いを至らせてみてください。そして、「おかげさま」という言葉をたまには口にして感謝の念を表してみましょう。

(解説/浄土真宗本願寺派僧侶 江田智昭)