人からどう思われるかを気にしない
では次に、言葉の普通の意味で「どうすれば人は幸せになれるか」という話をしましょう。これには3つのポイントがありますので順に説明します。
まずは「人からどう思われるかを気にしない」。これが「幸せになる」ために絶対に必要なことの一つめです。
私と古賀史健さんの共著『嫌われる勇気』は、お陰さまで多くの方に読んでいただいています。ただ、書名が独り歩きしている感が否めません。この書名は別に、人から嫌われなさいと勧めているわけではありませんよ(笑)。でも、誤解している人が多いようです。もともと嫌われている人にはこの上嫌われる勇気はいりません。
私のところにカウンセリングに来られる方たちを見ていると、いい人ばかりですね。つまり、他者に嫌われるようなことをやらないし言わない。だから、周りに誰一人として敵がいない。でもそういう人が、嫌われることも含め、他者からどう思われるかばかり気にしているとどうなるか──自分の人生を生きられなくなるのです。自分の人生を自分が生きないのであれば、いったい誰が自分の人生を生きてくれるのでしょう。
たとえば、自分には好きな人がいたのに親に反対されたので諦め、親の勧める相手と結婚したとします。もしもその結婚がうまくいかなければ、親のせいだと考えてしまうでしょう。それでは自分の人生を生きていると言えません。そういう人に「嫌われることを恐れるな」と伝える意味で『嫌われる勇気』という書名を付けたわけです。
「人からどう思われるかを気にしない」ことが大切なもう一つの理由は、本当に言うべきことを言えなくなるからです。これは今日本当に大きな問題になっていると思います。官僚や政治家たちの様子を見ていると、自己保身に走って上司の不正を見逃す、あるいは嘘さえ平気でつく。そういう人たちには、本当に言うべきことを言える勇気を持ってほしいと強く訴えたい。言うべきことを言えない人が幸せであるはずがありません。