著者は、2011年3月11日に起きた東日本大震災を踏まえて、その3ヵ月後に、これからの“エネルギー選択”を考えるために出版した。

 原子力発電所が停止した日本が、電源の代替ソースとして急激に天然ガスの輸入を増やしたことは正しい選択であり、安定供給とCO2(二酸化炭素)削減を両立する鍵は天然ガスと分散型のスマート・エネルギー・ネットワークだとする。

 彼の主張は、天然ガスの積極利用とエネルギー源・供給地域の多様化であるが、再生エネルギー導入の基礎知識を学ばなければエネルギー選択論争はタコツボに陥ると警鐘を鳴らす。エネルギーとは何か、化石燃料と近代化、原発と再生エネ対立の不毛などの項目で、論争の盲点を突く。今こそ読みたい本だ。

(元アラビア石油取締役、オイルアナリスト 庄司太郎)