名目成長率が来年2021年度の3%から23年度には3.5%に跳ね上がっていき、名目長期金利は21年の0.3%から27年度の3.5%まで急速に上がっていく。

 エコノミストや民間のシンクタンクの多くが、少なくとも東京オリンピック後に景気が落ち込むと予想しているのに、しかも、どんどん産業競争力が低下していく中で、どうして名目経済成長率3.5%を達成できるのだろうか。

 とにかく政権在任中は、この健全化計画で財政再建が達成できるかのように帳尻を合わせておくといった感じだ。

 どう見ても、5年半の失敗が急速に取り戻されるとは考えにくい。真実味が著しく欠けているのだ。

 むしろ、成長率や物価上昇が思うように伸びないまま、日銀が国債などを購入し続けて、財政赤字のファイナンスを続けていくことになると考えるのが自然だろう。27年度の財政健全化目標を実現するのは難しいと予想される。

消費増税対策は無意味
数字のつじつま合わせ

 こうした非現実的な財政健全化計画を見直そうともせず、政府や自民党が奔走しているのが、消費増税対策作りだ。

 安倍首相は、これまで、2度の消費税引き上げを先延ばしした。そのポピュリスト的体質から考えて、来夏の参議院選挙前に、また延期を言い出す可能性はなくはないが、今のところ、来年10月に予定されている消費税の8%から10%への増税を実施すると言っている。

 この消費税の増税によって、5.6兆円の増収が見込まれている。そのうち半分は財政赤字の削減(国債発行の抑制)のために、1.7兆円が幼児教育や保育士増員などの少子化対策に、1.1兆円が低所得者の高齢者支援など社会保障費に充てられる予定だ。

 しかし、増税の影響で消費が減退しGDP成長率の数字が落ち込むと、財政健全化目標が達成されないことになるので、当面、計画の数字の信憑性が完全に失われるのを防ぐために、あれこれ対策を検討しているわけだ。

 その1つが、クレジットカードなどを使ったキャッシュレス決済をすれば、増税2%分を超えて5%もポイントで還元する制度(つまり3%消費税減税)を、2020年の東京オリンピックまで導入することだ。

 だがこれだと、カードを持たない人はポイント還元が利用できないことになり、今度は公明党が抜け穴をカバーするために低所得者向けプレミアム付き商品券の発行を提案している。

 一方、自民党の税制調査会(宮沢洋一会長)は住宅ローン減税の拡充や自動車取得にかかる税負担の軽減措置などの検討を始めた。大型の設備投資を行った医療機関の消費税負担の軽減という声も出ていて、まるで「消費増税対策」を名目にしたばらまきオンパレードの様相だ。