7位「悪いこともいいことも、プレッシャーも緊張も、すべての感情が五輪で人生最高を更新した」

『伝え方が9割』の佐々木圭一氏が選ぶ「2018年伝え方大賞」

カーリング 吉田知那美選手/平昌オリンピック銅メダル獲得
出典:読売新聞

平昌オリンピックでも、数々のすばらしい伝え方に出会えました。そして、五輪という大舞台に立った人にしかわからない、嵐のような感情を伝えてくれたのが、吉田知那美選手でした。
日本初のメダル獲得という快挙を成し遂げたカーリング女子。しかし、そこに至るまでの10日間は、地元・北見だけでなく日本中の期待がのしかかっていたのです。私たちには、とうてい想像もつかない苦しさがあったことでしょう。そして、それを乗り越えての勝利の喜びは、メダリストだけが味わえる至高の感情なのだと思います。

「悪いこともいいことも、プレッシャーも緊張も、すべての感情が五輪で人生最高を更新した」

このコトバに、選手たちが人生をかける理由が見えたように感じました。

 

6位 Q「なぜ大分県からわざわざ?」
「わざわざじゃないですよ。日本人だから」

『伝え方が9割』の佐々木圭一氏が選ぶ「2018年伝え方大賞」

尾畠春夫さん/山口県で行方不明の男児発見
出典:ANN NEWS

今年、この方を知らない日本人はいないかもしれません。
「スーパーボランティア」という言葉が流行語にもなりましたが、「スーパー」である所以が、尾畠さんの行動のみならずコトバからも伝わってきます。
山口県で行方不明になった男児を無事保護した尾畠さん。「なぜ大分県からわざわざ?」と問われ、答えたのがこのコトバでした。

「わざわざじゃないですよ。日本人だから」

ボランティアへのゆるぎない信念が伝わってくる、圧倒的な伝え方です。
ほかにも「当たり前のことをしただけ」「何も求めないのが真のボランティア」など、含蓄のある数々の名言も印象的でした。

 

5位「親指1本で投げられる言葉なんかに、親心は絶対に負けないよ!」

『伝え方が9割』の佐々木圭一氏が選ぶ「2018年伝え方大賞」

あばれる君(お笑い芸人)/りゅうちぇるさんのタトゥー批判に対して
出典:あばれる君のTwitter

それは、ほほーっと唸ってしまうような見事な伝え方でした。
タレントのりゅうちぇるさんが、奥さんと息子の名前のタトゥーを入れたときのこと。ネット上で賛否両論の嵐が吹き荒れるなか、芸人のあばれる君がりゅうちぇるさんに贈ったのがこのコトバ。

「親指一本で投げられる言葉なんかに、親心は絶対に負けないよ!」

自身も父親だからこその力強いコトバは、あばれる君のやさしさや、正義感からあふれ出たのだと思います。でも、印象深い理由は、伝え方の技術でも説明がつきます。正反対のコトバを入れることで、インパクトを強める技術「ギャップ法」。「親指」と「親心」は字面は似ているのに、責任や覚悟の大きさという点で、正反対のコトバになっていますね。
「海軍に入るくらいなら、海賊になったほうが面白い」とチームを鼓舞したスティーブ・ジョブズの名言を思い出す、すばらしい伝え方でした。