G20議長国として消費増税を敬遠か
ブレグジットを巡る不透明感も

 4つ目は、日本が開催国として首脳会議(サミット)の議長国を務める点にある。16年は5月下旬に伊勢志摩で開いたG7(主要7ヵ国)首脳会議(サミット)の場で、安倍首相が「世界経済はリーマンショック前と似ている」などと主張。幾つかのデータを示しながら消費増税の先送りの条件としていた「リーマンショック級」の危機をことさらに強調したほか、財政政策でのG7の協調を訴え、明らかに増税延期への地ならしを進めていた。

 一方、今年は6月下旬に日本がG20(主要20ヵ国)では発足以来、初の議長国を務めるサミットが控える。そこで気になるのは、関連会合として重要な存在である同月上旬のG20財務相・中央銀行総裁会議(福岡)に向けて、麻生太郎財務相が「経常収支の不均衡是正」を主要議題の一つに挙げていることだ。

 週刊ダイヤモンド1月12日号・第2特集「データで解明!G20不協和音の裏側」で詳述したように、G20各国の経常収支の動向を見ると、トランプ大統領が行った減税策も影響する形で、米国の経常赤字額が圧倒的に大きくなっている。一方で、EU(欧州連合)や日本は17年に潤沢な経常黒字を確保している。

 累積債務規模が世界で突出する日本に財政的な余力は本来ないはずだが、経常収支の不均衡に焦点を絞った場合、内需拡大による貿易収支悪化が日本の経常収支の悪化、ひいてはG20の間の経常収支不均衡にも通じるのは事実だ。つまり伊勢志摩サミットで繰り出された論理展開も踏まえると、日本は経常収支の不均衡是正に向けてリーダーシップを取るために、財政政策の一環として内需の重荷となる消費増税「再々延期」を決めるのではないかとの観測につながる。

 最後に、今年も英国のEU離脱(ブレグジット)を巡る不透明感がくすぶっている。16年は6月23日にEU離脱の是非を問う英国民投票を実施。市場では残留派の勝利が見込まれていただけに金融市場には大きなショックをもたらし、為替市場では離脱決定後、対ポンドのみならず対ドルでも円相場は急騰した。結果的に増税延期の表明後にブレグジットが現実化した形だが、伊勢志摩サミットでも英国民投票の行方は各国間で大きなリスク要因との認識が広がっていた。

 今年は3月29日に英国がEUとの交渉期限を迎えるが、英国内で議会承認が進んでおらず、このままいくと英EU間の物流寸断など大混乱必至の「ハードブレグジット(合意なき離脱)」に至る可能性が未だに払拭されていない。