米国から日本に帰国してあらためて感じる
食のコスパの高さとキャッシュレスの進行

 7年も日本を離れていると、日本のことが本当にわからなくなっていきます。特に驚くのは外食のクオリティーと価格のバランスです。

 食の生産地に近いカリフォルニアでも、外食の当たり外れは激しく、限りなく期待値が下がり切っている状態で帰国することになります。そのため、駅前にある牛丼チェーンから流れてくる香りですら味への期待感を高めてしまうのです。

 新しい商業施設もたくさん完成していますし、街の景色も結構変わる。毎日通っていれば大して驚きもしないかもしれませんが、たまに訪れると自分がどこにいるのか見失ってしまいますね。

 見失っていることといえば、急速に広がるモバイルやバーコードを用いた決済もあります。PayPay祭りには完全に乗り遅れまいたが、とりあえずクレジットカードや交通系ICカードが使えるお店とほとんど共通しているようなので一旦スルーしておこうと思います。

 またコンビニやドラッグストアなどのチェーン系小売店のポイントカードの違いも驚くべき規模になっているように思います。あるドラッグストアでは、独自のポイントカードとPONTAの両方でポイントが貯まるそうですし。

 もうこれは全部持つか、1つのブランドを決めてその経済圏のチェーンに行き続けるか、全部持たないか。その一方で、Apple PayやGoogle Payなどのスマホ対応を進めれば、カードを持ち歩くことを意識せずに、お店に入ったらそのポイントカードが画面に表示され、かざすだけで使えるようにもできるはずなのですが。

ギガで縛られる生活は慣れない

 7年前の日本は、3Gのスマートフォンで使い放題のプランが提供されていたような気がします。その調子で米国に渡ったら、2GBのデータしかついていないプランにつき月70ドルも払わなければならず、驚かされました。

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米国では4G世代では”Unlimited”での競争が行なわれており、それに慣れてしまったので、日本に帰国すると通信量に気を回す必要が生じます

 その後4Gのインフラへ移行するにつれ「Unlimited」になり、データ量を気にせず使えるようになってきました。しかし日本に帰ってくると、再び「ギガ生活」に逆戻りすることになるから面白いものです。それにしても無制限のところから急に制限がかけられると、これがなかなか不自由です。

 一番最近の失敗は、モバイルデータ通信で30曲もある自分のiTunesプレイリストを、Apple Music経由でダウンロードしてしまったことです。Wi-Fi環境でダウンロードすればよかったのですが。でも、よくよく考えてみると1曲10MBだとしても、300MBしか消費していないんですよね。0.3ギガ。意外と大したことなかったです。

 と思って調子に乗って100MBのアプリやYouTubeの動画、デジカメで撮影した写真のメール送信などを調子に乗ってやっていると、やっぱりすぐにギガが消費されていきます。通信を使った何かをすれば当然ギガが消費されるのですが、あまりにその感覚から離れすぎていて、制御し切れていないような、そんな状況に陥っていました。

SIM認証のWi-Fi利用は示唆に富む

 モバイル通信プランは政府の介入で、2019年に値下げされることが予測されています。それ以前に、すでに十分選択肢が広がっている格安SIMなどの検討すべきなのですが、大手キャリアにも通信の安定性以外に示唆に富むサービスが存在します。

 たとえば、NTTドコモなどの大手キャリアは街中に設置されているWi-Fiを、ログイン操作が不要なSIM認証で利用できるので、ギガの節約になります。Wi-Fiを使っているかどうかも意識せず、駅などの施設でいつの間にかWi-Fiに切り替わっている状態。

 もちろん、Wi-Fiになったかどうかを確認しなければ節約の効果はないのですが、それこそ、駅で電車を待っている間に、音楽のプレイリストのダウンロードを済ませておけばよかったわけです。

 携帯電話は「いつでも、どこでも」というアイディアで使われていますが、ギガという制約でどこでも好き放題やっていいわけではなくなってきています。家の中にはWi-Fiがあるのは当然なのですが、街中の特定の場所でも家の中と同じようにWi-Fiを用いた特定の作業が可能になるエリアが広がっていることになります。

特定エリアでのみ超高速な5Gは今のWi-Fiに近い!?
そこでどういう新しい進歩が生まれるか

 こうした使い方は、4Gを下敷きにじわじわと広がり始めるであろう5Gでの体験の先取りのようなイメージになるのではないか、と思います。

 5Gは光回線の2GBの10倍にもなる20GBの速度実現を2020年開始予定で取り組んでおり、米国では最大1Gbpsの5Gサービスの開始がアナウンスされました。ただし、1Gbpsという速度は日本の4G LTEの最高速988Mbpsに近く、さほど魅力的ではありません。

 米国では4Gインフラの成功で、モバイル通信の速度と信頼性が飛躍的に向上しました。そのことが、アプリ経済圏、シェア経済といった新しいビジネスを成立させたといっても良いでしょう。単純な話で、必要になったとき、出先でアプリをダウンロードしてすぐに使えるという、当たり前のことができるようになっただけで、進歩だったのです。

 5Gにも、そうした不可能を可能にする要素に期待がかかります。しかも特定の場所で。みなさんなら何がしたいでしょうか。


matsu

筆者紹介――松村太郎

 1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。

公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura