Photo by Reiji Murai
中国のAI企業、月之暗面(ムーンショットAI)が、オープンウエートの最新AIモデル「Kimi K3」を発表し、米アンソロピックの「Claude Fable 5」や米オープンAIの「GPT-5.6 Sol」を猛追している。AI基盤モデルを巡る米中のAI開発競争が激化する中、日本でも世界最高水準を目指す国家プロジェクト「ノエトラ」が始動した。特集『AI産業戦争 米中覇権に呑まれる日本』の#19では、ノエトラの丹波廣寅社長がダイヤモンド編集部のロングインタビューに応じ、日本が世界で戦うためのAI開発戦略について語った。(聞き手/ダイヤモンド編集部 村井令二)
計算資源とエンジニアの「頭脳」を結集
日本が米中に対抗するAI開発戦略とは?
――ノエトラの発足によって、プリファード・ネットワークスやサカナAI、ソフトバンクなど、日本のAI開発企業が一つの巨大なAI計算基盤を利用できることになります。その意義をどう考えますか。
一つは、大きな計算資源をみんなで使えることです。もう一つは、日本のエンジニアの「脳みそ(頭脳)」を一つにまとめられることです。
日本は米国や中国に比べ、エンジニアもデータセットも計算資源もはるかに少ない。その限られた計算資源や人材が分散したままでは、世界と戦えるAIは生まれません。
プリファード、サカナAI、ソフトバンクだけではなく、NECや富士通をはじめ、日本でAI開発に携わってきた多くの人たちが、世界最高のモデルを作るという同じ思いで集まれたことが、何より大きいと思います。
――政府の約3900億円の支援で国内最大のAIデータセンターを構築します。利用できる計算資源は、多ければ多いほど良いのではありませんか。
世界トップを目指す中で、必要な計算量はとんでもなく増えるかもしれないし、逆に(効率的な学習方法によって)減るかもしれません。モデル開発でどれだけ試行錯誤を重ねるかによって変わるからです。
米国は膨大な計算資源を使い、何度も実験を繰り返しています。一方、中国は限られた計算資源の中で最適な手法を探しています。われわれも、計算資源を効率的に使う必要があるのではないかと思っています。
日本が、先行する米中に対抗するには、エンジニアの「頭脳」とAI計算基盤の「資源」を結集する必要があると説く丹波氏。次ページでは、政府の追加支援の可能性や国産AI基盤モデル開発の5カ年計画、エヌビディアとの関係、企業の「秘伝のタレ」となるデータの扱いなどについて、丹波氏が詳細に語った。米中に出遅れた日本の逆襲のシナリオとは。







