仮にあなたが家具屋さんだったとする。お客様から話を聞いていく中で「今使っているベッドが硬くてなかなか疲れがとれない」といった悩みが聞けた。

 この「悩み」さえ聞ければ「クッションが柔らかく疲れがとれるベッドがあります」と提案ができる。

 こうすれば話は良い展開になる。

 そうではなく、お悩みを聞かずに「こちらのベッドは電動昇降機能がありまして大変便利です」と説明したらどうだろう?

 お客様は《電動昇降機能なんていらないよ》と思う。

 バカバカしく感じるかもしれないが、こういったミスをしている店員さんがどれだけ多いことか。

 つい先日、手軽なトースターを買いに行った時のこと。もちろんその場で買うつもりだった。

 そこへ店員さんが近づいてきて“燻製までできる豪華な器具”について力説してきた。そんな商品を希望していないし、そもそも燻製はあまり好みではない。

 迷惑以外の何物でもなかった。

 嫌気がさした私は話が途切れたタイミングで売り場を去った。この店員さんは《なんだ冷やかし客か》と思っていたかもしれないが、実際は買いに来たお客様を逃してしまったのだ。

 きっと、店員さんはそれさえも気づいていないだろう。