外国人労働者テロが起きたときは
国際的な人権問題になるリスクも

 そして、やっていることも日本の若者と特に変わらない。スマホを持ち、SNSを介して遠く離れた友人たちと、たわいもないやり取りをする。その中には当然、「悪ふざけ」をする者もいる。

 それはつまり、低賃金や低待遇で不満を抱えた外国人労働者が「こんな仕事、クビになってもいいや」と、友人との悪ノリで不適切動画を投稿することだってあるということだ。そういう「外国人労働者テロ」が起きた時、果たして我々の社会では、どういう世論が巻き起こるのか。

「日本の社会ルールに従えないような不良外国人はさっさと追い出せ!」

「再発防止のため、企業に損害を与えた外国人労働者は法的措置など厳しい対策をとれ!」

 もちろん、外国人労働者側も黙っていないだろう。そもそも日本人も嫌がるような劣悪な労働環境や低賃金労働を強いている事業者や、日本政府が悪いというロジックを展開して、場合によっては、「徴用工」問題のリバイバルのように騒ぐ者もいるかもしれない。

 賃金アップできない業界はたいてい、過当競争にさらされている。しかし、事業者たちが、事業の整理や統廃合という根本的な解決をせず、安易に外国人労働者を投入することは、日本の労働者が直面しているパワハラ、セクハラ、低賃金での過重労働という諸問題を、「国際的な人権問題」に格上げして、世界に日本の「恥」を広めることにしかならないのだ。

 理不尽だと思うかもしれないが、「移民政策」を選んだのは他でもない我々なのだ。

 戦争、紛争、憎しみ合い…激しく対立する者たちというのは古今東西、必ずこういうことを叫んでいる。

「先に攻撃したのはあっちだ」

「バイトテロ」という問題もこれと同じで、「企業」と「労働者」という、どちらの立場に立つかによって、景色がまったく違って見える。

 正直、筆書にはどちらが「正義」なのかはわからない。ただひとつだけ言えるのは、今回のように「バカ従業員には報復せよ」という企業が増えたことで、この国にまたひとつ、終わりの見えない戦いが始まったということだ。