しかし、自動車メーカーにとってはHEV化が重要な選択肢になった。というのも、CO2排出規制が厳しくなり、排出ガスと燃費をRDEの実路走行でも管理されるようになったためだ。さらに、自動車メーカーにとってはCAFE(企業別平均燃費)規制がある。車種ごとのCO2 排出量に販売台数を掛けて、その1年間の合計から1台平均のCO2排出量を算出し、それが規制値を超えた場合は罰金を払わなければならない。

RDE対策として
エンジン排気量の拡大もトレンドに

 自動車メーカー各社は「BEVとPHEVの販売台数はそう簡単には増やせない」と語る。「たとえ補助金の支給があっても一般的なエンジン車より割高」だからだ。現在のEUのCO2排出規制をクリアするためには「すべての車種について地道な燃費改善努力を続けていくしかない」という判断だ。その燃費改善のための手段として、エンジンが苦手とする領域(たとえば発進加速)を電動モーターが補うP0~P4のHEVが注目されている。

 1997年にトヨタが1stプリウスを発売したとき、欧米の自動車メーカーはトヨタの後を追ってHEVを開発するかどうかの議論を行ったが、ダイムラー/BMW/GMの3社連合が“2モード”と呼ばれるエンジン縦置きFR車用のHEVシステムを開発するにとどまった。また、トヨタが“高速巡航が苦手”なHEVシステムに改良を加え第2世代に移行したときも、欧州では「HEVは本当に必要か」という議論があった。そして欧州メーカーは、クリーンディーゼルエンジンとガソリンダウンサイジングターボの開発に経営資源を集中させた。

 現在は、欧州勢も一斉にマイルド~マイクロのHEVを開発テーマに掲げている。同時に、RDE対策としてエンジン排気量の拡大もトレンドになった。ダウンサイジングがかえって燃費を悪化させるからだ。クルマのパワートレーンは規制によってさまざまに変わるのだ。

(報告/牧野茂雄、まとめ/CAR and DRIVER編集部)