中国本土では昨年秋ごろから、納税を嫌った業者による投げ売りが目立ち始めたという。中国の小売り事情に詳しい関係者によると、特に値崩れが激しいのが日本ブランドの紙おむつだ。

 花王など日本のメーカーとすれば、転売業者による爆買いが激減した上、中国本土では転売品に比べて正規品は割高のために販売が振るわない。そのため販売促進や商品戦略などの軌道修正を余儀なくされている。

「命の母」や「サカムケア」など訪日客向けの売り上げで18年12月期に100億円を突破した小林製薬でも、すでに1月は前年割れとなった。新法の影響はじわじわと出てきているようだ。

 中国ビジネスに詳しいTNCリサーチ&コンサルティング代表の呉明憲氏は「日本企業は代購頼みではなく、正規ルートでの販路開拓を考えていくべきときだ」と指摘する。

越境ECを管理下に置く
中国政府の狙い

 一方、今回の規制強化を“追い風”と見る者たちがいる。大手の越境EC運営業者だ。すでに認可を取得し正規ルートで販売する大手にとっては、転売品が消える分、市場も安定するとみる。

 実は今回の新法施行で中国政府は、越境ECで購入できる制限額の上限を増やしている。ここから透けて見える政府の狙いは、税関経由の正規の越境ECルートはむしろ拡大させる方針であり、越境EC自体を否定しているわけではないということだ。販売ルートを大手に集約すれば、税収はもちろんのこと、市場に出回る商品の品質管理や購買データの取得も容易になる。

 中国で唯一の日本商品特化型ECプラットフォームを運営するインアゴーラは「規制はポジティブな面が大きい。今後ブランド数を拡充し、消費者との接点を増やす取り組みを展開していく」と意気込む。

 日本のメーカー、小売りにとっては、中国人の爆買いはまさに天の恵みであった。多額の宣伝広告費を投じずとも転売業者が中国の消費者にインターネットで宣伝してくれ、日本から帰国後に越境ECで日本ブランドを指名買いしてくれる消費者も生まれた。

 爆買いというバブルが終わった今、日本勢は中国巨大市場での生き残りを懸けた正念場を迎える。割安な現地ブランドの品質が向上する中、ブランド価値を高める努力なくしては、中国人消費者にそっぽを向かれることになるだろう。