議論が分かれる
中国経済成長率の実態

 2018年の経済成長率に関しても、上記の通り、6.6%増というのが当局の統計発表であったが、実際の成長率(とその信ぴょう性)に関しては議論が分かれる。昨年末に筆者が話を聞いた姚洋・北京大学国家発展院院長は政府の経済・金融政策にも一定の影響力や発言権を持つとされるが、「中国経済は実質的にマイナス成長にすらなる」と言っていた。

 ジョセフ・ナイ・ハーバード大学教授は最近の北京訪問を通じて、複数の企業家から「中国経済の実際の成長率は公式発表の半分以下である」と聞いたと論考のなかで示している(“China will not overtake America any time soon”, Financial Times, February 20, 2019)。筆者自身、昨年第4四半期から最近に至るまで、北京、広東、香港、ワシントンなどで専門家と議論をする過程で同様のコメントを複数聞いている。

 中国経済を巡る真相は闇に包まれたままであるが、(1)中国経済の実態・真相に近年まれに見るほどの疑問が投げかけられていること、(2)民間の企業家や一般の消費者を中心に、中国経済の現状や展望に近年まれに見るほどの不安や懸念を抱いていること、(3)このような状況を前に、共産党指導部が正統性の確保という観点から躍起になっていることが指摘できるように筆者には思われる。

過去2年は「6.5%前後」で達成
今年はこれより下方設定の可能性

 このような現状下で迎える今年の全人代において、李克強は2019年の経済成長目標にどんな目標設定をするのだろうか。過去2年は「6.5%前後」という幅を持たせた設定をし、いずれも達成している。

 仮に“現状維持”であれば、中国政府として景気の下振れを抑えるための財政・金融政策ツールにかなりの自信を持っているということなのだろうと筆者は推察する。