経営学者の入山章栄氏(早稲田大学ビジネススクール准教授)によれば、現代のような不確実性が高い市場環境にあっては、「そもそも何をしたい会社なのか」といった全体感が不可欠になっているという。

そのような長期的方向づけ(Long Term Orientation)は、細かな分析やロジックの足し合わせからは生まれないため、感性や直感が求められる。実際、そうした方向づけがしやすい「同族企業」のほうが、長期的にはパフォーマンスが高いという研究データもあり、グローバル企業でも10~20年スパンの長期ビジョンに基づいた戦略立案がはじまっている。

佐宗邦威(さそう・くにたけ)
人から感謝される「よきリーダー」ほど“大事なもの”を失っていく

株式会社BIOTOPE代表/チーフ・ストラテジック・デザイナー。大学院大学至善館准教授/京都造形芸術大学創造学習センター客員教授。東京大学法学部卒業、イリノイ工科大学デザイン研究科(Master of Design Methods)修了。P&Gマーケティング部で「ファブリーズ」「レノア」などのヒット商品を担当後、「ジレット」のブランドマネージャーを務める。その後、ソニーに入社。同クリエイティブセンターにて全社の新規事業創出プログラム立ち上げなどに携わる。ソニー退社後、戦略デザインファーム「BIOTOPE」を起業。BtoC消費財のブランドデザインやハイテクR&Dのコンセプトデザイン、サービスデザインプロジェクトが得意領域。山本山、ぺんてる、NHKエデュケーショナル、クックパッド、NTTドコモ、東急電鉄、日本サッカー協会、ALEなど、バラエティ豊かな企業・組織のイノベーション支援を行っており、個人のビジョンを駆動力にした創造の方法論にも詳しい。著書に『直感と論理をつなぐ思考法――VISION DRIVEN』『21世紀のビジネスにデザイン思考が必要な理由』(クロスメディア・パブリッシング)がある。