黒字と赤字が二極化し、G20の貿易不均衡は縮小どころか一段と拡大しているのだ。貿易赤字を目の敵にするトランプ大統領はこうした実態を一因に、中国と激しい貿易戦争を繰り広げている。ただし詳しくは後述するが、実際のところ表面的な貿易不均衡のみが保護主義の原因であるなどと早とちりすべきではない。

 そもそもG20とは、日米欧の先進国から成るG7に新興国などを加えた主要20カ国のこと。21世紀に入って新興国が急成長を遂げる中、世界中のGDP(国内総生産)の8割超、貿易総額の8割程度を占める一群で、世界経済は彼らの動向に委ねられている。

 そんな国々の首脳が一堂に会し、膝を突き合わせて世界の諸問題を議論するのがG20サミットだ。G20の始まりはアジア通貨危機をきっかけとして1999年、20カ国・地域の財務相や中央銀行総裁が集って議論する「G20財務相・中央銀行総裁会議」が開かれたことにある。そうして08年からは首脳会議に格上げされたサミットも開かれるようになった。

 以降、とりわけ経済・金融関連のトピックは事前に財務相・中銀総裁会議で議論を煮詰めてからサミットに移るのが通例となっており、日本はこの会議体でも発足後20年で初の議長国の役割を担う。そしてサミット自体は6月の開催だが、関連会合は1月中旬から始動する予定だ(下表参照)。