上下水道危険度ランキング あなたの街の管があぶない#1Photo:PIXTA

下水道は整備の進み始めた時期が1970年代と上水道より遅く、都市部から普及した。そのため老朽化が進んでいる自治体は、都市圏が中心だ。老朽化対策の財源確保のために、料金値上げに踏み切る自治体も現れている。特集『上下水道危険度ランキング あなたの街の管があぶない』(全4回)の#1では、下水道の老朽化の現状、値上げの可能性をランキングで検証する。(ダイヤモンド編集部編集委員 竹田孝洋)

1970年代に普及し始めた下水道
初期に整備された管渠が老朽化

 埼玉県八潮市の道路陥没の映像が印象深く残っている人も少なくないだろう。

 下水道管は老朽化すると堆積物がたまるなどして硫化水素が発生しやすくなる。硫化水素が酸化すると硫酸となり管が破損する。破損した箇所に土砂が入ることで、地下に空洞が生じる。

 八潮市のケースの場合、地盤が弱かったこともあり空洞を支えることができず下水道管の上の道路が陥没し、痛ましい事故が起きてしまった。

 下水道の整備は1970年代都市部から進み始め、80年代から普及が加速した。2023年時点の普及率は約81%だ。

 下水道の管渠(かんきょ)の標準耐用年数は50年。初期に整備された管渠が耐用年数を超えつつある。

 23年度末で、標準耐用年数を超えた管渠は約4万km、総延長50万kmに対する比率は7%前後だが、これが43年には21万kmになる見通しだ。

 当然、補修、更新などを進めていかなければならない。実は、ちょっとしたくぼみ、膨らみ、小規模なものも含めれば陥没自体は少なくない、22年には2607件の陥没が起きている。補修や更新をせず、老朽化した管渠を放置すれば八潮市の陥没のような事態が起きかねない。

 補修や更新には当然、財源が必要だ。下水道事業は原則として独立採算が求められる。事業として黒字であれば更新費用の財源も捻出できる。黒字でなければ、料金の値上げをするなどして財源を確保する必要がある。住民による節水、大都市圏以外の自治体では人口減少も料金収入減による採算圧迫要因としてのしかかってくる。

 今回、下水道事業を営む自治体の公営企業の経営状況、管渠など設備の老朽化の現状、料金などをまとめた総務省「地方公営企業年鑑」のデータに基づいて、自治体ごとの老朽化度ランキング、値上げ可能性ランキングを作成した。

 次ページでは、そのランキングを掲載するとともに値上げに踏み切った自治体、踏み切る可能性のある自治体について取り上げる。