
トランプ政権が導入した一連の関税措置が、日本企業に重くのしかかっている。とりわけ鉄鋼や自動車など品目別関税の強化により、製造業の打撃は深刻だ。6月17日に開催される主要7カ国首脳会議(G7サミット)では、石破茂首相がトランプ大統領との会談で関税撤廃を求める構えだ。こうした局面を受けて、ダイヤモンド編集部は最新決算を基に関税リスクの高い企業を分析。特集『関税地獄 逆境の日本企業』では、関税打撃度を可視化した249社ランキングを順次配信していく。第1弾は米国事業への依存度の高さを示す「米国事業の売上高構成比ランキング」を公開する。(ダイヤモンド編集部編集長 浅島亮子)
最新決算を反映!製造業249社が対象
関税打撃度を可視化したワーストランキング
6月17日、カナダ西部で主要7カ国首脳会議(G7サミット)が開催される。石破茂首相はこの場でトランプ米大統領との個別会談に臨み、米国による一連の関税措置について直接交渉する見通しだ。この席で、米側から何らかの譲歩を引き出せるかどうかが最大の焦点となっている。
トランプ関税には、おおまかには4種類に分類される。一律関税(全ての輸入品に一律10%)、相互関税(日本には24%)、国別関税(カナダ・メキシコや中国などが対象)、そして品目別関税(鉄鋼・アルミ製品、自動車・自動車部品など)だ。これらはいずれも、米国の貿易赤字解消、米構内への製造業の投資拡大、関税歳入の拡大を目的としている。就任当初より、トランプ大統領は「製造業の国内回帰」を一貫して主張してきた経緯がある。
ここにきて、懸念が高まっているのが品目別関税だ。すでに6月4日には、鉄鋼・アルミニウム製品に対する追加関税が25%から50%へと引き上げられた。一方の自動車関連では4月に完成車、5月には部品にもそれぞれ25%の追加関税が発動されている。さらにトランプ大統領は、これらの自動車関連関税が米国内への投資を呼び込んでいると関税賦課の正当性を主張し、追加関税の更なる強化に含みを持たせている。
当然のことながら日本政府は自動車関連関税の全面撤廃を求めているが、交渉は厳しい局面を迎えているとも言えそうだ。
ダイヤモンド編集部では、自動車を含む製造業249社を対象に、トランプ関税によって大きな打撃を受ける懸念のある企業を分析。最新の2024年度決算を基に関税の影響度を可視化した「4つのランキング」を作成した。監修は、東海東京インテリジェンス・ラボのシニアアナリストである杉浦誠司氏によるものだ。
順次、公開するランキングは以下の通りだ。
①【米国依存度】24年度の米国事業の売上高構成比
米国事業への依存率の高い企業はどこか。連結売上高に占める米国事業の構成比に着目。どの企業が米国市場を最大の稼ぎ頭としているかをランキングした。関税の影響のダイレクトに受けやすい企業を抽出した。
②【米国加速度】米国事業の売上高構成比の変化(18年度vs 24年度)
コロナ後に米国依存を強めた企業はどこか。18年度と24年度の6年間で、米国事業の売上高構成比がどれだけ伸びたかを可視化。ポスト・パンデミックの需要拡大や現地生産シフトを進めた企業がランクインした。
③【米国売上高規模】米国事業の売上高(絶対額)
米国で最も稼いでいる企業はどこか。24年度の米国事業売上高を金額ベースでランキング。売り上げ規模の大きさ=市場の存在感を示す指標とし、関税影響を予想した。
④【米国売上高増減率】(同)の変化(18年度vs24年度)
コロナ後に米国事業を大きく伸ばした企業はどこか。18年度と24年度の6年間で、米国事業の売り上げ規模をどの程度増やしたのかをランキング。急成長した企業ほど関税の打撃リスクが大きくなる。
まずは、第1弾として、①【米国依存度】24年度の米国事業の売上高構成比ランキングを公開する。トランプ関税の打撃をダイレクトに受ける企業はどこなのか、明らかにしていこう。