しかし、長谷工コミュニティに変わった途端、戸惑いを覚えた。掃除などをしているスタッフに高齢者が多かったからだ。自分よりかなり年上の方が懸命に廊下の掃除などをしている光景を見ると、何か悪いことでもしてしまったような、すまない思いがした。

 だが、高齢のスタッフたちは全くそれを感じていないかのように、明るく挨拶してくれたり、荷物を持っている住民のためにさっと手を伸ばしてドアを開けたりしてくれる。

 いつの間にか、申し訳ないという気持ちは敬意と謝意に変わっていた。高齢者が元気に働いている姿が、日常的な光景になっていたのだ。

 わが家のマンションでは26人のスタッフが働いているが、最高年齢は72歳で平均年齢は56歳。業種別に見ると、管理人は平均年齢67歳の3人、フロントサービスは平均年齢36歳の6人、清掃員は平均年齢67歳の12人、警備業務は平均年齢53歳の4人、支配人は32歳の1人となっている。これを見るだけでも分かるとおり、マンション管理の世界でもすでに高齢化の荒波が押し寄せてきているのだ。

年金制度は充実しているのに
高齢者が働かなければならない現実

 日本は年金制度が充実しているはずなのに、なぜこれほどの高齢者が働きに出ているのか。興味を持ってスタッフに聞いてみたところ、主な動機として、「経済上の理由」「経済上のゆとりの確保」「身体的・精神的健康維持・向上のため(老化防止、認知症予防など)」「時間に余裕」「近所に住んでいるため」「自分の能力生かせる場がほしい」などが挙げられている。

 その中の2人に話を聞いた。

 1人は管理人を務める萩原弘光さん(63歳)。長谷工コミュニティでの勤務歴はすでに10年。錦糸町のマンションでは管理人として8年間務めてきた。

 以前は、医薬品卸会社に勤めていたが、54歳のときに会社を早期退職。今は奥さんと大学生の長男、専門学校生の次男に義理の母親など6人家族で暮らしている。昨年、一戸建ての自宅を建て直して3階はアパートとして賃貸に出しているが、ローンの返済や生活費のことを考えると、あと何年間働かなければいけないと考えているそうだ。