米FRB利上げ先送りでもくすぶる「債務のマグマ」、遠のく量的緩和からの脱却ハト派メッセージは株価上昇をもたらすか?テレビ画面に映る人物はパウエルFRB議長 Photo:AP/AFLO

2019年の利上げ回数をゼロとし、バランスシート縮小停止も大きく前倒しする方針を決めたFRB(米連邦準備制度理事会)。政策決定に政治リスクの影がちらつく中、膨張を続けてきた米企業や米国財政の債務問題は依然くすぶる。こうした“債務のマグマ”の膨張は景気悪化時に思わぬ強襲を招きかねない。加えて、今回のFRBの決定は、もはや世界経済が中央銀行の金融緩和に頼らなければ成長の勢いを保てない、“新時代”への突入を象徴しているかのようだ。(「週刊ダイヤモンド」編集部 竹田幸平)

「私たちの今の政策姿勢は適切だ」――。FRB(米連邦準備理事会)のパウエル議長は20日、FOMC(米連邦公開市場委員会)終了後の記者会見でこのように強調した。だが、2019年の利上げ想定回数を18年12月時点の「2回」から一気に「ゼロ」へと引き下げ、バランスシート縮小も今年9月で終了するという新たな方針を市場は「想定以上にハト派的だ」と受け止めている。

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 では、何がパウエル氏を想定以上にハト派的な判断へと向かわせたのか。