『メイドインアビス』のキャラクターは「ちびキャラ」のようなかわいらしい姿をしているが、このパターンをしっかりと継承している。そういう意味でこれは、まぎれもなく「冒険ファンタジー」の系譜にある。

◇人類滅亡後の世界

 2017年に放映された『けものフレンズ』もまた、「世界観アニメ」の代表作のひとつである。『けものフレンズ』の舞台は、人類の文明が終わった世界にかつてあった巨大総合動物園「ジャパリパーク」だ。主人公・かばんは自らの正体を知るため、サーバルキャットのサーバルとともに冒険をする。そしてサバンナやジャングル、砂漠などを経て、第7話で図書館へと至る。人類の祖先は約600万年前のアフリカに誕生し、やがて世界中へ拡がっていったが、『けものフレンズ』の物語前半はまさに「人類が歩んできたコースを旅する話」といえるだろう。

 かばんが「ヒト」だと判明する第7話では、かばんが「文字」を読み「火」を使いこなす様子が描かれる。そして「ヒト」の特徴について、「道具を作る。使うことです」と指摘される。とはいえ「道具」を使用できる動物は他にもいる。そういう意味では「道具」を「使う」ではなく、「発明」するといったほうが適切だ。そうでなければ「ヒトとはなにか」を語ったことにならない。

 ちなみにドイツの哲学者ハンナ・アレントは『人間の条件』において、ヒトをヒトたらしめる「十分条件」として(1)生きて死ぬ存在であること、(2)世界と関係を取り結びながら生きること、(3)多種多様な複数の人達と関わりながら生きること、(4)地球上で生きることの4つを挙げた。

 しかし著者はもう一点、「理想あるいはユートピアを語れること」も条件に入るのではないかと提起する。イスラエルの歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリの『サピエンス全史』によると、ヒトの社会は「農業革命」を経て、「貧富の差」による不平等に悩まされるようになった。その一方で『けものフレンズ』で描かれる社会は、「平等」の精神に貫かれた「ユートピア」である。本作における人類は、こうした理想像を失った、あるいは諦めてしまったがゆえに滅亡したのではないか。