本当に意味のあるフィードバックが、その場で部下の心に刺さるワケ
「あのときの話はこういうことだったのか」と、何年も経ってから腑に落ちるフィードバックはある。しかし、そのフィードバックには本当に意味があるのだろうか(写真はイメージです) Photo:PIXTA

フィードバックは、その後の意識や行動を変えるものじゃなければ意味がない。何年も経ってから「あのとき言っていたことは、こういうことだったのか」と腑に落ちても遅い。メンバーの成長を強力にバックアップするためにも、マネジャーはその都度、相手の腑に落ちる「意味のあるフィードバック」をする必要がある。では、「意味のあるフィードバック」のために何が必要なのか、どうすればできるのか、考えてみたい。(freee株式会社CEO 佐々木大輔)

そのフィードバックで
あの人の行動は変わったか

「戦略的思考が足りない」

 グーグルにいたとき、人事査定か何かの際に、ボスからそうフィードバックを受けたことがある。

 その当時は、何やら漠然とした「戦略的思考」について、いまいちピンとこなかった。「どうやったら身に付くのか」と聞いてみたけれど、「自分のボスだとか、もうちょっと上の人の視点で事業を見てみたらどう?」という、またもや漠然とした答えが返ってきただけで、やっぱり具体的にはよくわからなかった。

 もちろん、よくわからなかったのは、当時の自分の限界でもある。そのフィードバックが、こういうことを指していたのかなと理解できたのは、freeeを立ち上げてしばらく経ってからのことだった。

 戦略的思考というか、戦略的投資というのは、目先の成果には何もつながらないことが多い。けれども、数年後のビジネスをつくるために、やらなきゃいけないことは間違いなく今仕掛けていかなきゃならない。そういうことがfreeeをやっていて実際にわかったとき、「あー、あの時受けたフィードバックは、こういうことだったのかも」と振り返ることができた。確かにあのとき、この実感が僕にあって仕事に取り組んでいたら、もう少し違うことができたのかな、と思い返すことがある。

 ただ、完全に自分のことを棚に上げて、当時のそのフィードバックは本当に有効だったのかと考えると、今も疑問が残る。「戦略的思考が足りない」という表現だけでは、当時の僕の思考や行動は何ひとつ変わらなかったからだ。